TsuKuBa 年史-TsuKuBa History -

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衛星通信技術

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NTTでは、衛星通信によって災害時のライフラインの確保、および離島向けなどのユニバーサルサービスや海上の船舶向けのブロードバンドサービスの提供を行っています。アクセスサービスシステム研究所では、これらNTT事業会社が提供するサービスに関するニーズに応えるために、衛星通信システムの開発と衛星通信の基盤技術の開発に取り組んできました。

(1) インフラ衛星通信システム≪現行システム≫
インフラ衛星通信システム(図)は、離島通信および災害対策時の通信を確保するために開発されたシステムです。本システムの開発においては、1台の変復調装置で複数波の同時送受信を可能とするとともに、離島通信、災害対策通信とでリソース共用を可能とすることにより経済化を実現しました。また、災害対策に迅速に対応できるように、次のように新たな通信サービスの追加および装置の小型化・軽量化を実現しました。

インフラ衛星通信システムの構成例

図 インフラ衛星通信システムの構成例

・2005年に特設公衆電話サービスに加えて、IPデータ通信サービスも提供可能な、災害対策サービスに適用するインフラ衛星通信システムを開発。音声通話はVoIPを利用。
・2012年に被災地においてより迅速に通信回線を提供できるようにするために、インフラ衛星通信システムにおいて使用する衛星通信地球局の小型化・軽量化を実現。この小型衛星通信地球局では、自動車に搭載して運搬する車載型アンテナのほかに、複数の運用者が手で持ち運ぶことができる可搬型アンテナを開発し、機動性と迅速性の向上を実現。

(2) 高効率衛星通信システム≪次期システム≫
災害対策、離島、船舶衛星通信の次期システムに適用することを目指して、下記コンセプトを実現する「高効率衛星通信システム」を開発しています。

  1. 中継器利用効率の改善
  2. インタフェース機能の統合・高度化による、衛星通信を提供するネットワーク設備のシンプル化
  3. 共通基盤化したOpS採用による、システムの監視制御のスキルフリー化

・2014年に衛星通信モデムと地上伝送装置間のインタフェース機能を1台で提供可能で海底光通信のエコーキャンセラとしても適用できる離島通信設備シンプル化技術(衛星通信回線終端装置SYS-U)を実現。本技術の適用により、衛星通信や海底光通信により離島に通信サービスを提供するネットワーク全体の旧式な各種装置類を一掃し、早期マイグレーション(ネットワークシンプル化)を可能とする。
・2015年に「中継器利用効率の改善」を実現するため、中継器内の所望の周波数に、最大64チャネルの所望の伝送速度の信号を柔軟に配置し、中継器内の未使用帯域を最小化できるキーモジュールとして、高効率グループモデムモジュール(高効率GMM)と高効率ターボ符復号化モジュール(高効率TCM)を開発した。
・2016年に「高効率GMM」及び「高効率TCM」を実装することで周波数帯域幅当たりの伝送信号量を増加できる衛星中継器の利用率向上技術(衛星通信回線終端装置COM-U)を開発した。

(3) 衛星通信の基盤技術
周波数帯域の有効利用や新たなサービスの提供に向けて次のような衛星通信の基盤技術の開発・評価を行ってきました。

  1. 2005~2008年にグループ変復調装置と回線制御プログラムを含むモバイルマルチキャスト衛星通信システムを開発。また、本システムを利用し、新幹線などの列車内にブロードバンドサービスを提供するために「超薄型衛星通信用平面アンテナ」を開発。
  2. S帯ブロードバンド移動体衛星通信の基盤技術として、2005年に衛星電力/周波数帯域の最適配分技術、2007年に大型展開アンテナ構成技術、2008年に衛星搭載用マルチビーム形成装置と評価技術を開発。
  3. Ku帯移動体衛星通信方式技術の研究開発を実施し、2009年に偏波追尾を不要とする偏波多重伝送技術、2012年に周波数利用効率を向上させる帯域分散伝送技術を開発。
  4. 2009年に海洋を含む全国の観測局からの気象や災害等に関するセンサ情報を衛星経由で1箇所に集信する、多地点データ集信型衛星通信システム技術を確立。
  5. 2013年に衛星地球局の利得を上げる分散アレーアンテナ技術を開発。
  6. 2015年に周波数利用効率を更に向上させる動的スペクトラム制御伝送技術を開発。

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