従来、NTT東西により使用されてきたKu帯超小型衛星通信システムの、1局当り1音声回線を提供するシステムでは、熟練した技術者でもアンテナの向きを手動で衛星方向に向けるなど、その設営作業には1時間程度の時間を必要としました。
また、災害復旧時に要求される機動性と迅速性に欠けるという課題がありました。
アクセスサービスシステム研究所では、これらの課題克服に向け、現行のポータブル衛星通信システムに大きな変更を加えずに適用できることを開発方針として、端末局側の地球局に用いる次の3つの装置と、1つのツールの開発を行いました。
・自動車などで運搬できないような被災地に対しても、複数の運用者が手で持ち運ぶことができる可搬型アンテナ(図1)
・自動車で行くことができる被災地での使用に適した車載型アンテナ(図2)
・少しでも多くの被災地で同時に使用することができるように、1地球局当りの通信速度・周波数帯域を限定したモデム
・統制局の運用者からの遠隔操作により、回線開通試験を実施できる電波送出遠隔試験ツール
これらの技術の開発により、通信回線の途絶に対し、被災者に迅速に通信インフラを提供できる小型衛星通信地球局を実現しました。