移動体向け衛星通信システムであるモバイルマルチキャスト衛星通信システムとして、「超薄型衛星通信用平面アンテナ」と「高機能型グループ変復調装置」、「VSAT用高効率回線制御プログラム」を開発しました。
列車用に高速の移動環境でも適用できる「薄さ9cmの超薄型平面アンテナ」を2005年度に開発し、2006年度より導入を促進するための周辺技術として「衛星波遮断対策技術」の開発に着手し、架線構造物などの比較的短尺な遮断物への対策技術として「レイヤ3ダイバーシティ技術」および「ストリーミング品質制御技術」を開発、2007年度はトンネルなどの長尺な遮断物への対策技術として「ギャップフィラー技術」を開発しました。
衛星波遮断対策技術は、トンネル内などの衛星波遮断環境下で時速300km超の移動体に対して、高スループット(20Mbit⁄s超)かつパケット欠落のない伝送方式を実現するもので、2008年4月にNTT西日本に成果提供を行いました。また、プロモーション活動の一環として社内フォーラムでは、屋外の衛星波が遮断される環境において、レイヤ3ダイバーシティ技術とギャップフィラー技術によりシームレスな通信が可能となることをマルチメディアカー(検証用バス)のデモンストレーション走行により実演しました。
NTT優位技術である「高機能型グループ変復調装置」と「VSAT用高効率回線制御プログラム」は、2004年11月に開発着手したもので、2005年5月には高機能型グループ変復調モジュールおよびVSAT局用高効率回線制御プログラムを成果提供し、同年9月にはグループ変復調装置および制御局/基地局用高効率回線制御プログラムを成果提供しました。
事業会社では、これらを基に独自に海洋ブロードバンド衛星通信システムを開発しました。
本システムへの技術支援として、2008年度にネットワークオペレーションシステムの検証環境構築、お客様要望に基づく他システムとの接続検証等を個別契約にて実施し、安定運用、機能追加検討に寄与しました。