TsuKuBa 年史-TsuKuBa History -

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離島通信設備シンプル化技術(衛星通信回線終端装置SYS-U)

2014年(平成26年)

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概要
NTTでは、公衆電話、固定電話通信などのサービスを、いつでも、どこでも、誰もが利用可能な料金でお客さまにご利用いただけるよう、通信網の維持・保守に取り組んでいます。これらのユニバーサルサービスを提供するために、NTTでは光ファイバなど有線系インフラ整備が困難な山間部や離島、被災地の通信手段として衛星通信を活用するとともに、衛星通信の一層の効率化、高度化を目指して研究開発をしています。
NTTアクセスサービスシステム研究所では、離島通信設備シンプル化技術として衛星通信モデムと地上伝送装置間のインタフェース機能を1台で提供し、かつ海底光通信のエコーキャンセラとしても適用できる衛星回線終端装置SYS-Uを開発しました。本装置は、衛星通信や海底光通信により離島に通信サービスを提供するネットワーク全体の旧式な各種装置類を一掃し、早期マイグレーション(ネットワークシンプル化)を可能とします。

(1) 本技術の利点
  • 複数の旧世代装置で提供する機能を1装置に集約し、低速・高遅延な衛星回線を使う場合に発生する、様々な技術課題を解決し動作します。
  • 地上伝送設備との接続インタフェースを低速な1.5M電気信号から高速な155M光信号に高度化し、地上伝送装置のマイグレーションを実現可能としています。
  • 高遅延な通信回線で発生する音声エコーを、電話や専用線等のサービスに合わせて制御しエコーを除去できます。
  • 監視制御装置と通信装置に地上系装置と同様の監視制御機能を実装し、運用者のスキルフリー化により効率的な運用業務を可能とします。
(2) 本技術の適用先
  • NTT事業会社が提供している離島衛星通信システム、離島海底光通信システム
  • 長距離通信システムやモバイル通信システムなどの高遅延通信回線での音声通信システム
(3) 衛星回線終端装置SYS-Uの主な技術
  1. 装置モード
    衛星回線を終端して接続する「SYS-Uモード」と、海底光回線で発生する音声エコーを除去する「EC(エコーキャンセラ)モード」の2つの装置モードを具備しています。エコーキャンセラは、装置あたり最大200回線弱の音声回線のエコーを同時に除去する性能を有し、無音時の誤切断防止機能などに加えて回線ごとに最適化された音声検出アルゴリズムにより高品質なエコー除去を可能としています。
  2. 衛星通信モデムインタフェース
    静止衛星軌道の24時間周期変動により発生するドップラーシフトの影響を吸収するためのバッファを装備することにより、通信品質を確保することが可能です。また、現行衛星モデムと開発中の次期衛星モデムの双方と接続可能なインタフェースを有するため、装置の接続モードを切り替えることにより同一物理インタフェースでマイグレーション可能であり、このマイグレーションによって回線容量を約1.4倍に増加することも可能としています。
  3. SDHフレームオーバヘッド伝送
    SYS-Uは地上伝送装置や交換装置とSTM-1インタフェースで接続し、SDHフレームで通信を確立します。しかし、衛星回線側は地上回線側より大幅に低速であるため、本土側と離島側との間でSDHフレームを使って通信を確立するために、SYS-Uは衛星回線容量に合わせた速度でユーザデータを送受信することに加えて、SDHフレームのオーバヘッドを必要最小限にスリム化して送受信することでSDH通信を可能としています。

衛星回線終端装置SYS-U

図 衛星回線終端装置SYS-U

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