概要
NTTでは、公衆電話、固定電話通信などのサービスを、いつでも、どこでも、誰もが利用可能な料金でお客さまにご利用いただけるよう、通信網の維持・保守に取り組んでいます。これらのユニバーサルサービスを提供するために、NTTでは光ファイバなど有線系インフラ整備が困難な山間部や離島、被災地の通信手段として衛星通信を活用するとともに、衛星通信の一層の効率化、高度化を目指して研究開発をしています。
NTTアクセスサービスシステム研究所では、通信衛星上の中継器リソースの利用効率を向上する技術を適用した「高効率GMM(グループモデムモジュール)」及び「高効率TCM(ターボ符復号化モジュール)」を開発し、この度これらのモジュールを実装した衛星回線終端装置COM-Uを開発しました
(1) 本技術の利点
- 衛星中継器の利用効率を向上(災対衛星通信の一例で約1.6倍)することで衛星通信システムの運用コストの削減(災対衛星通信の一例試算で約30%強)を実現します。
- これまで複数装置で実現していた主信号伝送機能、制御信号伝送機能、RF系設備監視機能をパッケージ化し1つの装置で提供可能としています。
- これまで1つの衛星中継器あたり4式の主信号伝送用装置で構築していたシステムを1式の装置で提供可能としています。
- 監視制御装置と通信装置に地上系伝送装置と同様の監視制御機能を実装し、運用者のスキルフリー化により効率的な運用業務を可能とします。
(2) 本技術の適用先
- NTT事業会社が提供している災害対策衛星通信システム、離島衛星通信システム
(3) 衛星回線終端装置SYS-Uの主な技術
- 複数通信キャリアの同時送信
「高効率GMM」が作る通信キャリアを主信号や制御信号等の機能毎に色分けすると共に、1つの装置から機能毎に分けられた最大64回線分の通信キャリアを同時に送受信可能としています。 - 複数ユーザデータの同時送受信
離島通信における1.5Mbps回線を15回線同時送受信及び「衛星回線終端装置SYS-U」向けインタフェースへのクロスコネクトを可能としています。 災対通信における最大52台の小型衛星通信地球局との同時送受信及び4クラスQoSを考慮した外部装置へのクロスコネクトを可能としています。 - スキルフリー化監視制御機能
先行開発した「衛星回線終端装置SYS-U」や地上系伝送装置と同様の監視制御インタフェースを規定することにより標準的な運用スキルによる監視制御を可能としています。
これまで別装置や別ルートで監視制御していた衛星通信アンテナ等のRF系装置の監視制御機能を実装することにより衛星通信設備の監視制御を集約可能としています。 - 複数システムへの対応
これまでユニット単位で提供していた機能をパッケージ化し、提供サービスに必要な機能に応じてパッケージ構成を変えることにより1つの装置で複数のシステムに対応可能としています。
通信インタフェースの高度化やRF系設備の更改等に対応したパッケージを追加することにより外部条件の変化に対応可能としています。