
とう道とは、地下に敷設された通信ケーブルや電力ケーブルを保護・収容するためのトンネル状の構造物です。とう道は、地上の交通や自然環境からケーブルを守り、安定した通信や電力供給を支える基盤となっています。
近年、災害の激甚化、また労働人口の減少や設備の老朽化に伴い、効率的な設備管理と安全対策がますます重要となってきました。こうした状況を受け、NTTアクセスサービスシステム研究所では、従来のとう道技術をさらに進化させ、効率的な設備管理と安全対策を強化するために様々な技術を開発しています。
道路舗装や地表を掘り返さずに、地下を掘り進めるために開発されたシールド工法は、土砂崩壊を防ぐために、鉄またはコンクリートの形わくを掘削面に当てながら掘削を進めます。NTTでは、シールド工法を1963年に初めて東京・白金電話局のとう道工事で採用するなど、研究所では事業の要求に対応するため、シールド工法の開発を進めてきました。
シールド式とう道の任意の位置からケーブル分岐を可能にする接続技術をSTIC方式(Shield Tunnel Interfaces with Conduits)といいます。従来のシールド式とう道では、約700mごとに設けられた立坑からしかケーブルの分岐ができませんでしたが、STIC方式により、必要な箇所で柔軟かつ効率的に管路を分岐することができるようになりました。この技術により、施工コストの削減と工期の短縮が実現し、従来の立坑から分岐する方式に比べて経済性が向上しています。また、この技術は優れた耐震性を持ち、災害時の安定した通信インフラを支えています。
NTTは、とう道管理の効率化を図るため、3次元モデルを使った管理システムの研究開発を進めています。このシステムでは、衛星画像から取得した地下空間の状況を、まるでストリートビューのように可視化でき、点検履歴を立体的に確認することが可能です。これにより、現場に行かなくても、とう道内の状況をリアルタイムで把握することができ、ケーブルや設備のメンテナンスがより迅速かつ正確に行えるようになります。
また、この技術により、とう道内の構造や鉄筋の配置状況もスケルトン表示で確認でき、特にシールドとう道の場合、一次覆工のセグメントの状態も視覚的に把握することが可能です。作業者は、タブレットを使ってとう道内の環境データ(温度や酸素濃度など)をリアルタイムで確認しながら、必要な情報を参照しつつ安全に作業を進めることができます。
さらに、災害時には、カメラやセンサーを使って全国のとう道を一元管理するシステムが導入され、緊急対応が迅速に行えるようになる計画です。今後、マルチコプターやロボットを使った現場調査も実現される予定で、管理業務のさらなる効率化が期待されています。
NTTが開発するとう道技術は、通信インフラを支える重要な基盤であり、見えない部分で私たちの生活を守っています。最新の技術により、ケーブルの設置や維持管理が効率化され、災害時にも迅速な対応が可能です。これに加えて、3次元モデルを活用した管理技術の導入により、未来のとう道管理はさらに進化を遂げようとしています。
NTTの継続的な研究開発は、未来の通信インフラの信頼性を高め、未来の通信技術を支える基盤となっています。
普段は見えない「とう道」の役割について勉強できたね!
ところで、とう道っていつから使われてるの?
日本で本格的に使われ始めたのは昭和の時代なんだって!
へえ!そんなに長い歴史があるんだね。でも、昔と今で違うところはあるの?
もちろん!昔は単純なトンネルだったけど、今ではケーブルを保護するための技術や、効率的に管理するシステムも発展してるんだ。
なるほど、とう道も時代と共に進化してるんだね。
そうなんだ!未来には3次元モデルでとう道を管理できるようになるかもしれないよ。
3次元モデル?どういうこと?
簡単に言うと、とう道の中を遠隔で見渡せるような仕組みだよ。まるでストリートビューみたいに!これで、点検やメンテナンスがもっと簡単になるんだ。
それは便利だね!とう道管理の未来が楽しみだなぁ!