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旧規格マンホール設備の安全性評価技術

2023年(令和5年)

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NTTの保有する約70万個の通信用マンホールのうち、約22万個については1956年(昭和31年)に規格化された旧規格品が占めています。1993年に行われた車両制限令の改定により車両総重量の最高限度が20トンから25トンに引き上げられたことを受け、これらの規格品について従来手法を用いた安全評価を行った結果、鉄筋にかかる負担が安全基準を下回ってしまい、補強・更改の対象となっていました。しかしながら、実際の点検結果をみると荷重によるひび割れが出ているものは無く、評価手法が実態とかけ離れている状態でした。
そこで、より現実に近いシミュレーションが可能なFEM(有限要素法)構造解析を用いることで、これら旧規格品に対する新たな安全性評価技術を確立しました。
FEM構造解析を行うためには、マンホールに対し交通荷重等がかかった状態を再現可能な構造解析モデルが必要となります。構造解析モデルの作製にあたっては、当時の図面を元に作製した旧規格マンホールの実設備を用い載荷実験を行いました。これにより解析シミュレーションの挙動が実験と一致するような構造解析モデルを作製しました。(図1)

載荷実験結果に基づき作製した構造解析モデル

図1 載荷実験結果に基づき作製した構造解析モデル

このモデルを用いた解析では従来手法と比較し2つの観点で鉄筋にかかる負担を現実的に評価することが可能となります。(図2)

①従来評価手法の拘束条件は、上床版を側壁に乗せていると考える「点接合」としていました。今回評価手法では、載荷実験結果と比較し上床版と側壁が一体であると考える「剛接合」が適切であることを明らかにしました。これにより上床版にかかっていると考えられていた下側引張の力は、実際には上側引張に分散される、つまり鉄筋にかかる下側引張方向の負担が緩やかになる事を解明しました。
②従来評価手法の荷重負担モデルは、鉄筋にのみ引張方向の力を負担させていました。今回評価手法では、現実には存在するコンクリートにも負担させました。これにより下側引張側にかかる負担を現実的に評価することができました。

本技術により、今まで更改や補強が必要とされていた1956年に規格された旧規格マンホールについて、従来評価に比べ、現実には鉄筋にかかる負担が少ないことを明らかにしたことで安全が確認できたことから、補修・補強にかかる維持管理コストの低減が可能となりました。

構造解析により現実的な評価が可能となるポイント

図2 構造解析により現実的な評価が可能となるポイント

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