衛星通信とは?-宇宙を介したデータ伝送の未来

目次

衛星通信とは?

衛星通信は、宇宙にある人工衛星を使って、地上の情報を送受信するための技術です。地上から送られた電波を衛星が中継し、離れた場所に届けることで、山間部や海上といった通常の通信が難しいエリアでも、確実で安定した通信が可能になります。この技術は、特に災害時や通信インフラが整っていない地域で、その価値を発揮します。
NTTは、この衛星通信をさらに進化させ、災害時にも迅速かつ安定した情報伝達を可能にするシステムを開発してきました。通常の通信手段が使えない状況でも、衛星通信を活用することで広いエリアをカバーし、確実に重要な情報を届けることができます。こうした技術の発展は、私たちの生活の安全と快適さを裏で支え続けています。

これまでの衛星通信

NTTグループでは、光ファイバなどの通信インフラ設備の敷設が困難な離島地域や自然災害などで一時的に避難を余儀なくされる被災地域の通信手段として、通信エリアの広域性や通信ネットワーク構築の容易性等の特徴を有した衛星通信を利用してきました。NTTアクセスサービスシステム研究所の設備利用の効率化や運用性向上をめざした「高効率衛星通信システム」によりNTTグループは「離島衛星通信」「災害対策衛星通信」のサービスを提供していました。

現在の衛星通信
現在の衛星通信

衛星通信を含めた、今後の非地上系ネットワーク

宇宙空間における地球観測衛星、宇宙ステーション、月近傍のゲートウェイ等が収集する情報量の増大に伴い、大量の画像・データ等をより高速に伝送し活用するための通信インフラが求められ、さらには宇宙ビジネスの拡大等を背景に人類が宇宙空間へ活動範囲を広げていく未来に向けた環境整備も求められていくと予想されます。
NTTは、2019年8月にJAXAと協力協定を締結し「地上と宇宙をシームレスにつなぐ超高速大容量でセキュアな光・無線通信インフラの実現」等に向けた共同研究に取り組んでいます。

めざすべき世界観イメージ
めざすべき世界観イメージ

低軌道衛星MIMO技術を活用した衛星センシング

宇宙統合コンピューティング・ネットワーク構想のひとつである宇宙センシングは、衛星で取得した高精細で大容量な観測情報の利活用や、地上のあらゆる場所で取得したセンサデータの収集を担う、超広域衛星センシングプラットフォーム7の実現をめざしています。そのためには、低軌道衛星から地上基地局へ伝送する無線信号の周波数利用効率を向上し伝送容量を改善する「低軌道衛星MIMO技術」と、無線局免許不要で多様な地上用LPWA無線端末の収容を可能とする「衛星センシング技術」が不可欠です。

低軌道衛星MIMO技術を活用した衛星センシングのイメージ
低軌道衛星MIMO技術を活用した衛星センシングのイメージ

Beyond 5G/6Gに向けた多層型NTN

地上のルーラルエリアだけでなく、空、海、宇宙も含んだ超カバレッジの概念を一般にNTN(Non Terrestrial Network)と呼んでいます。NTNでは通常のスマートフォンを用いた携帯電話サービスに加え、船舶・自動車・監視制御等の自動化・無人化で衛星通信やHAPS通信が利用されると予想されています。その際、地上ネットワークを利用できるエリアについては地上ネットワークを活用し、地上ネットワークのエリア外では衛星やHAPSを活用するなど、地上と上空のハイブリッドなネットワーク構成となります。
地上と静止軌道(GEO)衛星、低軌道(LEO)衛星、HAPS等に対するアクセスサービスを統合した宇宙RANにより、超広域カバレッジサービスを実現することで、災害対策だけでなく、離島やへき地のエリア化、飛行機や船などの通信環境の飛躍的な改善など、利便性の向上や新たな付加価値の提供が可能となります。

Beyond 5G/6Gに向けた多層型NTN
Beyond 5G/6Gに向けた多層型NTN

まとめ

衛星通信技術は、私たちの日常生活や緊急時の通信インフラを支える大切な技術です。地上での通信が難しい場所や、災害が発生した際でも安定した通信を提供し、必要な情報を途絶えることなく届けることができます。これは、私たちが普段意識することのない部分で、大きな役割を果たしています。
さらに、継続的な研究開発により、これらの技術はますます進化しており、より信頼性が高く効率的な通信が可能になっています。私たちが日常で当たり前に使っている通信環境は、こうしたたゆまぬ研究開発によって支えられており、今後も新たな技術革新が私たちの生活をさらに豊かにしていくことでしょう。

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衛星通信ってすごい技術だね~!

そうだね!
衛星通信に使われる静止衛星って、どの辺を飛んでるか知ってる?

宇宙を飛んでいるんだよね?どのくらい遠いか想像つかないなぁ。

実は静止衛星は地球から約36,000キロメートルの高さに浮かんでるんだよ!

3マン6セン・・・そんなに遠いの!?信号が届くのが遅れたりしないの?

ちょっと遅れることはあるけど、光の速さで電波が飛んでるから、ほとんど感じないんだ!

すごいね!それで地球のどこにいても、通信ができるんだね。

そうそう。だから、山や海でも使えるんだよ!未来では、もっと便利な通信が期待できそうだね。