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鉄筋コンクリート(マンホール)の劣化予測技術

2021年(令和3年)

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鉄筋コンクリート(マンホール)を、既存の点検データから設備に内在する劣化要因を推定することで点検を効率化する技術について紹介します。

(1)開発の背景
鉄筋コンクリートマンホールは定期点検で劣化状態を把握し、必要なメンテナンスを実施していますが、不良率は低いため、劣化傾向に合わせた効率的な点検が求められています。

NTTマンホール内訳および不良率

図1 NTTマンホール内訳および不良率

(2)技術の概要
鉄筋コンクリートの材料劣化要因について、マンホール環境での発生有無を調査した結果、「中性化」「海砂塩害」「アルカリシリカ反応」が主な劣化要因であることが判明しました。
「中性化」は二酸化炭素の浸透によりコンクリートの強アルカリ性が失われ鉄筋腐食が進行する現象ですが、既設マンホールの状態調査、ラボ環境での試験片による中性化促進試験により、中性化が鉄筋位置まで到達する期間を算出した結果、マンホール内に「たまり水」のある高湿度環境では中性化は進行しないということが分かりました。
「海砂塩害」はコンクリート材料中の塩化物により鉄筋腐食を進行させますが、マンホール材料の調査により海砂使用期間を分析した結果、海砂塩害劣化は今後発生しないということが分かりました。
「アルカリシリカ反応」はコンクリートのアルカリ成分と骨材中のシリカ成分との反応生成物の膨張によりコンクリートにひび割れが生じる現象ですが、ひび割れ発生時は鉄筋腐食が発生していないことから、発生時から補修限界に至るまでの期間を導出した結果、補修限界までは27年以上要するということが分かりました。
解明した劣化要因ごとのメカニズムに基づき、既存点検データベース情報を用いて判定することにより、鉄筋コンクリートマンホールの約96%(約55万個)が点検周期27年へ延伸可能となるという知見を得ました。

点検DB情報に基づく劣化要因の判定および分類

図2 点検DB情報に基づく劣化要因の判定および分類

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