TsuKuBa 年史-TsuKuBa History -

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オプティカルファイバアクセス技術

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通信網の高速・広帯域サービスへの対応に向けて光ファイバの導入は、幹線系から進められ、1985年に北海道から九州までが光ファイバで結ばれました(全長3400km)。アクセス網への光ファイバ導入は、1990年代から本格的に実施されることになりました。このアクセス網の導入計画は、1990年に発表されたNTTのVI&P構想と1994年に発表された「アクセス網の光化について」で具体化されました。前者では、アクセス網を含めた通信網の光化により高速・広帯域サービス提供を目標とし、後者では、お客様宅近く(き線点:地下ケーブルが地上に立ち上がる地点)までの光化を、2010年までに整備することを目標としました。

これは、従来の数千万加入者のメタルペア線を光ファイバで置き換えることを意味しており、研究所では、メタル並みのコストで設備し、そしてそれらを管理、運用、保守できる各種技術の開発を進め、その成果をNTT東西へ移行してきました。その結果、2010年度末のき線点までの光化率は、90~93%(政令指定都市・県庁所在都市:95~98%)が達成されました。

アクセス網の光化については、き線点からお客様建屋へ、さらに構内・宅内までの光化技術の開発を進め、1997年に世界初のFTTHを使用したCATV映像伝送サービスが横浜市戸塚で開始されました。NTTでは2010年末での電話契約数の5700万加入に対してFTTHの契約数は、約2000万加入になり、毎年100万契約数以上の増加に対応してきました。

図1にアクセス網の光化に係わるオプティカルファイバアクセス技術を示します。

オプティカルファイバアクセス技術

図1 オプティカルファイバアクセス技術

また、図2に示すように、フェーズ1には、光メディアネットワークの大量開通期に向けての早急な対応として、DIY(専門業者以外も対応できるように工事を簡易化)と、Plug & Play(成端・スプリッタ等の機能ごとのモジュール化による開通工事の簡易化)の研究開発を行いました。さらに、フェーズ2(光設備の維持・運用期)には、ライフタイムコスト(光サービス開通、支障移転、故障対応に関わる運用コスト)の削減に関する技術開発を進めました。

このような、アクセス網の光化は、光加入者系伝送方式であるPONの技術開発に加え、光ファイバを用いる地下・架空・構内・宅内の光配線技術とその管理・運用技術、そして、それらを構成するために必要な、光ファイバのケーブル化、接続・コネクタ、クロージャなどの技術を継続的に開発し、導入することで達成することができました。

オプティカルファイバアクセス技術の研究開発

図2 オプティカルファイバアクセス技術の研究開発

1.光メディア・部品技術

(1)光ファイバケーブル技術

1990年後半から21世紀にかけて、アクセス網への光ファイバケーブルの大量導入に向け、NTTの収容局からお客様機器までを光ファイバで結ぶため、細径・高密度化した地下光ケーブル、架空光ケーブルおよびドロップ光ケーブル、さらに専門技術者でなくても工事ができる構内光ケーブル、インドア光ケーブルおよび光コードなどを開発しました。

(2)光ファイバ接続・コネクタ技術

大量加入者需要に対応するためには接続工事の簡略化が大きな課題となりました。これに対しては、現場での融着作業が回避できる、各種方法(現場組立の機械的固定接続型のFA/FASコネクタ、コネクタ付きコード等)と、接続部を収容するクロージャとの接続方法の工夫により各種心線数に対応できる技術を開発しました。

(3)光クロージャ技術

光アクセス網においては、光ケーブルの分岐個所に、光クロージャ(構内・宅内ではキャビネット)が設置されます。光クロージャは、その設置場所によって必要な機能が異なるため、地下光クロージャ、架空光クロージャ、キャビネット等、設置場所に対応して開発しました。

2.光配線・施工技術

(1)地下/架空光配線・施工技術

大量光需要に即応できるようにするためには新たな配線技術も必要になりました。このために図1に示した、地下区間とそれが地上に出るき線点および架空区間からなる配線系において、需要に対して柔軟に対応できるよう各区間での配線技術や、お客様宅への接続(ドロップ光ケーブル)技術の開発を行いました。具体的には、細かな作業が要求される光ファイバ接続技術や光ケーブルの取り扱いのスキルフリー化・高精度化により、迅速かつ高品質なサービス提供ができる地下/架空光配線技術を開発しました。

(2)構内光配線・施工技術

多様な集合住宅・ビルユーザへの光ファイバ導入に対しては、構内光配線技術のメニュー化・高度化によって、多様な条件への対応が可能な光配線を実現し、その結果、構築コストを削減することができました。

(3)宅内光配線・施工技術

宅内光配線においては、設置工事・作業の効率化のため、宅内光配線技術のDIY化と工事の簡易化、光ファイバコードの曲げフリー化などの宅内光配線技術の開発を行いました。

3.光設備管理・運用・保守技術

少ない要員でも多数の加入者の光配線の設置・管理・運用・保守を可能にすることによって、高品質のサービスを廉価に提供できるシステムを開発しました。具体的には、サービス開始にあたっての設置設備の選定と管理、そして開始後の効率的な運用・保守が継続できる技術を開発しました。

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