図1にファイバ接続技術の変遷を示します。光ファイバの接続は、永久接続のための融着接続とメカニカルスプライス、および着脱が可能なコネクタ接続に分類されます。
融着接続は、主に再接続の発生が少ないマンホール内等で使われるため、装置の小型・軽量化の研究開発が行われていますが、接続作業には専門技術者が必要とされ、ファイバ心線処理・融着接続に時間がかります。
コネクタ接続では、接続点での低損失化・低反射化が課題です。光コネクタについては、伝送装置や構内配線等の単心接続用であるSCコネクタや、多心ケーブル接続が可能なMTコネクタ等、使用目的に合わせた各種の光コネクタが開発されていますが、現場でのコネクタ付け作業にはコネクタ先端の研磨作業があり、融着接続と同様に時間がかかります。
(1)FAコネクタにより光ファイバ取り扱いをメタル並みへ
FTTHの実現に向けて、光ファイバ接続を容易かつ短時間に、メカニカルスプライスの組み立てやすさと光コネクタの着脱の容易さ、さらに光ファイバ自体の扱いやすさにつながる「外被把持機能」を加えた研究(図2、図3)によって、FAコネクタ(Field Assembly Connector)を2005年に、現地組立型の架空用光コネクタを2006年に開発しました。このコネクタを配線・構内・宅内系へ適用することで、大量加入者への対応が可能となりました。
(2)経済化MUコネクタによる高密度実装
FTTHの経済化を実現する局内系の光配線に用いる統合光配線架IDM(Integrated Distribution Module)に、経済化MUコネクタ技術を採用しました。従来のSC形光コネクタを用いた光配線架(FTM:Fiber Termination Module)と比較して2倍の4000心の高密度収容を実現し、FTTH多量導入時での局舎のフロア占有面積を抑えることを可能にしました。これは2001年から導入されています。これには、MU形光コネクタが経済的で高密度実装に適していることと、使用する局内光ファイバコードの外径を1.7mmから1.1mmに細径化したことも高密度収容に寄与しています。
(3)光心線切替時の手順見直しによる断時間低減
ファイバ融着接続手順[(1)心線の取出し、(2)心線の切断、(3)被覆の除去、(4)光ファイバの清掃、(5)光ファイバの端面出し、(6)融着接続]において、(2)切断を(4)清掃の後に行う作業手順の入れ替えによって切断時間を60%(約40秒)短縮できる通信断時間短縮の光心線切替技術を開発しました。
多心融着接続で究極ともいえる個別軸調心ファイバ融着接続装置が1996年に開発されました。これは、CCDカメラ画像情報による圧電素子駆動の調心機構で光ファイバを個別に軸調心することで低損失の多芯一括融着接続を実現しています。
(4)FTTH多量導入以前の光ファイバ接続
FTTHの多量導入以前の1990年代には、光ファイバの一括多心接続コネクタとして、積層型多心コネクタ(1996年)、MTコネクタ(1998年)が開発され、メカニカルスプライスでは単心型が1997年、4心型が1998年に開発されました。
なお、光ファイバ以前に開発された、メタリックケーブルの心線10対を一括して接続することができる心線接続用のPATコネクタが、1987年に導入され、1991年からは、架空ケーブル用として用いられています。
(5)屈折率整合剤の固形化
2014年、ターミネーションコネクタと外被把持スプライスに使用されている屈折率整合剤を液状から固形状に変更しました。これにより、接続の信頼性を向上させるとともに、現場でのHAFの接続を可能にしました。
あわせて、把持部材の共用化により物品統合を実施しています。