TsuKuBa 年史-TsuKuBa History -

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通信基盤設備の防災・セキュリティ技術

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通信設備を災害や人的脅威から守るための防災・セキュリティ技術として、次のような技術の開発が行われてきました。

  • 通信設備に大きな影響を及ぼす地震への対策。この技術は、地震の通信設備への影響を最小限にとどめるための耐震対策の技術と、耐震対策を立てるために設備の耐震性などを評価する技術に分けられます。図に通信基盤設備の耐震対策のイメージを示します。

  • 光ファイバセンシング技術を使用して、とう道や管路などの施設が正常な状態の構造を維持しているかを監視する技術

  • とう道内が安全な状態にあるか(火災、可燃性ガス、酸欠ガス、水没などが発生していないか)、また、とう道内に正規の作業者だけが入っているかを監視する技術

  • 劣化したマンホールを早期に発見するため、これまでの点検データを分析し、劣化の可能性が高い設備から点検できるよう優先順位付けする技術

通信基盤設備の耐震対策イメージ

図 通信基盤設備の耐震対策イメージ

(1) 通信基盤設備の耐震対策

(2) 通信基盤設備の耐震性の評価

耐震対策と防災計画の策定には、地震時の通信設備の信頼性と通信システムへの影響を把握することが必要とされたため、次のような耐震性の評価技術を開発しました。

  • 1989年に地震動・地盤変状の予測、地下設備・ケーブルの被害予測シミュレーション等ならなる地震時信頼性評価システムTEL-SAPP(Simulation technologies for Telecommunication seismic accident prediction)を開発。

  • 2007年に地下ケーブルの耐震性評価を付加することにより、通信サービスレベルでの耐震性評価を可能とした地下通信設備の耐震性評価技術を開発。さらに、2009年にGIS(Geographic Information System)技術を用いた公的機関発表情報の活用などにより、シミュレーションの精度向上と効率化を図った通信設備の地震時機能性評価技術を開発。

  • 2013年に特殊専用橋の耐震性評価技術を開発。NTT独自で橋梁設備を構築する専用橋設備の内、旧標準設備であった特殊専用橋について地震動による評価技術と液状化による評価技術を確立しました。

  • 2016年に既設管路の被災予測技術を開発。管路線形や地盤急変部の有無、地震時の地盤ひずみの度合い、腐食劣化による耐力の低下状況といった管路一本一本の「個性」を勘案することで、被災の可能性が極めて高い箇所をピンポイントで抽出できるようになりました。2022年に予測手法を見直した既設管路の被災予測技術を開発。東日本大震災を含む過去の5つの大地震での管路の緊急点検データ、管種等の設備情報、微地形等の設置環境の情報、地震動の情報と機械学習を用いて被災予測モデルを構築し、管路1本単位の地震動による被災を予測する技術を確立しました。

(3) 光ファイバセンシング技術を適用したとう道、道路の監視

研究所では、光ファイバの反射光や透過光の解析により光ファイバが布設されている構造物の変位を検出できる光ファイバセンシング技術を開発しました。光ファイバセンシング技術は、光ファイバの光信号が届く範囲で計測可能であるため、線レベルで広範囲に計測可能なこと、落雷の影響を受けないこと、センサへの給電が不要なことなど、従来の電気式センシングにはない特徴を持っています。この光ファイバセンシング技術を適用し、次のように、とう道や道路などの監視システムの開発・実証実験を行いました。

(4) とう道設備の維持管理と運用業務の支援

とう道内では、火災などの災害の感知と作業者への通知、避難誘導による運用業務の安全化、設備の集中管理を行うシステムの導入が進められてきました。さらに、2002年には、とう道設備の維持管理・運用業務の最適化のほかに、入溝者の位置検知などのセキュリティ機能を実現したとう道マネジメントシステムを開発しました。

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