大地震の際に被災する可能性が極めて高い地下管路設備をピンポイントに抽出して、効率的な耐震対策を実施可能にした被災予測技術について紹介します。
(1) 技術の概要
従来も通信管路の地震被災想定を行う技術はありましたが、その技術は被災しやすいエリアをマクロ推定するもので、個々の通信管路の被災判定はできませでした。さまざまな埋設環境に長期間さらされた管路の耐力は千差万別であり、耐震対策計画の策定には個々の管路の詳細な耐力診断が必要になります。そこでAS研では、管路線形や地盤急変部の有無、地震時の地盤ひずみの度合い、腐食劣化による耐力の低下状況といった通信管路の「個性」を勘案し、新たな被災予測ロジックを組み上げました。この被災予測技術により、被災の可能性が極めて高い箇所をピンポイントで抽出できるようになりました(図1)。
(2) 被災予測技術の活用例
本技術は、既設管路の構造的な耐力低下度合いと劣化による耐力低下度合いを考慮し、震度7相当の地震に耐えうる強度と照査することで、管路一本一本の現時点における地震耐力の判定や、あと何年で必要な地震耐力がなくなるかの判定が可能になります。図2はMAP上に被災予測結果を表示した例になります。このように、どの管路の耐震対策をすべきか、いつまでに耐震対策をする必要があるのかという優先順位付けが客観的に判断できるようになります。