TsuKuBa 年史-TsuKuBa History -

  • TsuKuBa年史ホーム
  • 技術一覧
  • 年表

既設管路の被災予測技術

2022年(令和4年)

通信管路は、地下ケーブルを収容・保護する設備で、総延長は全国で約62万kmあります。地下管路の過去の大地震による被災率は数%程度ですが,主に道路下の地中に設置されていて地上からの目視点検ができず、入孔点検が簡単にできないため、被災箇所の特定や復旧に時間がかかります。一方、通信を含む社会インフラは、大規模な自然災害時にもサービスの維持や早期復旧が社会から期待されています。
地下管路の大地震による被災を低減するためには、要対策(弱点)箇所を抽出し、通信インフラの強靭化を計画的に実施することが効果的です。対策としては、現行規格管への更改、伸縮継手の設置、PIT新管路方式※1による非開削での補修・補強、ケーブルルートの多ルート化などが考えられます。また、大地震が発生した場合には、被災している可能性が高い設備を抽出し、優先的に点検することで早期の被災箇所特定及び復旧が可能になります。このような設備を抽出する「既設管路の被災予測技術」の研究開発に取り組み、2021年度に成果提供しました。

本技術の活用方法

図1 本技術の活用方法

従来技術※2は、2011年東日本大震災での管路の被災調査・分析に基づき、統計的手法により管路の被災しやすさを4段階にクラス分けするものでした。この技術では、クラスごとの優先順位はつけられるものの、個々の設備については被災しやすさの違いがわからない、過去の直下型地震に適用した場合に精度が低下するという課題がありました。これらの課題を解決するため、過去の大地震の際の管路の緊急点検結果(被災有・無)、管路の情報、地震の情報、設置場所の情報と機械学習の手法を用いて管路1条ごとの被災を予測するモデルを構築しました.直下型地震のデータの追加、変数寄与度の定量化による適切な変数の抽出、機械学習の活用により従来技術に対して予測性能を向上させました。

被災予測技術の概要

図2 被災予測技術の概要

※1 PIT新管路方式  https://journal.ntt.co.jp/backnumber2/1111/files/jn201111042.pdf
※2 従来技術  https://www.rd.ntt/as/times/095/02/index.html

PAGE TOP