TsuKuBa 年史-TsuKuBa History -

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光ファイバと光スプリッタを使用したPONシステムの開発

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研究所では高速・広帯域サービス実現に向けて1980年代からアクセスシステムのペアメタルケーブルを光ファイバへ置き換える"アクセスシステムの光化"の研究開発を進めてきました。

当初は、アクセスシステムの構成はスタートポロジーでしたが、コスト低減の観点から光送受信器数とファイバ総長が低減できるパッシブダブルスター(PDS、PON[Passive Optical Network]とも言われる)のトポロジーへとシフトしました。これには、光スプリッタを用いた光LAN(1986年実用化)や、超大容量光伝送方式F1.6G(1987年実用化)からの技術継承があり、1990年代からは、PONシステムによるFTTHの研究開発が進められています(図)。

NTTにおけるPONシステムの開発

図 NTTにおけるPONシステムの開発

1994年には、新世代通信網利用高度化協会(PNES)主管の新世代通信網パイロットモデル事業において、関西文化学術研究都市(京阪奈)にPONシステムが導入されました。

1997年には、NTT独自仕様のSTM-PON(Synchronous Transfer Mode PON)を用いたFTTHシステムが商用導入(戸塚)されました。STM-PONは、双方向のデジタル伝送と、多チャンネルの映像を各ユーザへ分配するSCM-PON(Sub Carrier Multiplexing PON)を波長多重で実現しています。

1998年には、ユーザ近辺まで光ファイバで伝送し、そこから各加入者へは従来のメタルを用いることでメタル並みの設備コストを実現した、電話サービスのSTM-PON(πシステム)が商用化され、1998年度から全国展開されています。また、同年、SCM-PONについても、送受間ロスバジェットの拡大、および光波長分散や光反射点による劣化の改善を可能とするFM一括変換方式が開発され、こちらは1999年の戸塚でのエリア拡大の際に導入されました。

2000年には、インターネットアクセスも可能なビジネスユーザ向けのSTM-PON(シェアドアクセスシステム)が商用化されました。

21世紀に入りインターネットなどの高速データ通信の需要が急伸し、2001年には、CATV映像伝送システムにインターネットアクセス機能(64k~10Mbit/s)を加えたSTM-PONを実用化しました。このシステムには、所外用のPLC光スプリッタ(4分岐)が導入されています。さらに8分岐のPLC光スプリッタも開発されています。
国際標準化機関のITU-TでFTTH実現に向けて標準化されたB-PON(G.983)システムを最初に開発し、高速版Bフレッツとして、2002年に導入されました。

ビジネスや家庭内のLAN向けにイーサネット(IEEE802.3)が主流となり、IEEEではアクセスシステムへの適用(Ethernet in the First Mile)を目的にIEEE802.3ahが2004年に標準化されました。それに対応したGE-PONを2004年に実用化しました(NTT東では「Bフレッツハイパーファミリータイプ」、NTT西では「フレッツ光プレミアム」で使用)。また、GE-PONを用いたNGNサービスが「フレッツ光ネクスト」という名称で、2008年3月からNTT東西からサービスされています。

一方SCM-PONについては、光増幅器によりNTTビルを多段中継伝送することで1つの映像配信センターがカバーできるエリアの広域化を2003年に行い、「映像通信網サービス」の名称で、同年には集合住宅向けに、また2006年には戸建住宅向けに商用サービス提供を開始しました。さらに2007年には伝送帯域をBSデジタル放送やCS110°放送に対応するための広帯域化開発を行い、2008年に「フレッツ・テレビ」の名称で商用サービスが開始されました。

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