社会情報理論研究プロジェクトでは、ICT技術と社会科学・法制度等を融合した学際的な基礎研究により、社会システムの変容を促す新たな理論や技術の確立をミッションの1つとして研究を推進しています。
テクノロジーの発展に伴い、これまでの家族や会社組織といったものに加え、同じ趣味趣向を持ったコミュニティから住生活等を送るスマートシティまで、大小様々な社会がサイバー空間とリアルワールドに跨って形成されていくことが想定されます。またこれらの社会を構成する人々の価値観もますます多様化し、それぞれのウェルビーイング実現が重要になっていきます。
こういった背景をふまえ、我々のプロジェクトでは人々のウェルビーイングの実現を支える社会の仕組みの創出に向け、今後どういった社会の仕組みの変容が起こり得るのか、またその際に解決するべき課題は何なのかを、有識者の方々と研究会の場を設け議論しています。
人々のウェルビーイングの実現を支えるため、社会の仕組みはどうあるべきか。こうした問いに対する多元的なインプットを得るために、この研究会において15名の有識者および実践者に、ウェルビーイングという観点からそれぞれのテーマにおいて起こると考えられる社会の仕組みの変容について、コラム形式での論考をお寄せいただきました。
15テーマのコラムを拝読して我々なりに導出したことが2つあります。1つはウェルビーイング社会(価値観が多様化する中でそれぞれがウェルビーイングを実現した社会)を共創していくためには、先ず1人ひとりがウェルビーイングのリテラシを高めてその本質を考えられえるようになった上で、 ウェルビーイング社会の実現を自分ごととして捉えつつ「Self-as-We(1)」の考え方で取り組んでいく必要があるということでした。
またもう1つはその共創を支援する社会の仕組みとして、 Society5.0で提唱されているような個人や組織を超えて流通するデータの活用や、1人ひとりのウェルビーイングの度合いを計測・可視化することが有効ではないかということです。その際には1人ひとりのニーズに応えつつバランスをとって合意形成し、集団の最適解を新たな価値として導出可能とするルールや基盤の整備が望まれているのではないかということでした。
社会情報理論研究プロジェクトでは引き続き、来るべきデジタル社会やそれを構成する人々のウェルビーイングを実現するために必要な社会の仕組みの研究を推進していきます。以下から15名の有識者それぞれのコラムをお読みいただけますので、ぜひご覧ください。
大阪大学 社会技術共創研究センター
センター長
岸本 充生
慶應義塾大学大学院 システムデザイン・マネジメント研究科
教授
白坂 成功
一般社団法人Deep Care Lab
川地 真史、田島 瑞希
慶應義塾大学総合政策学部
教授
國領 二郎
国際大学グローバル・コミュニケーション・センター
主幹研究員/准教授
山口 真一
NPO法人 場とつながりラボhome's vi
代表理事
嘉村 賢州
一般社団法人 社会的健康戦略研究所
代表理事
浅野 健一郎
シティライツ法律事務所
弁護士
水野 祐
東京大学先端科学技術研究センター
特任准教授
吉村 有司
東京都市大学 都市生活学部
准教授
坂倉 杏介
国際大学グローバル・コミュニケーション・センター
主幹研究員/教授
渡辺 智暁
国際大学グローバル・コミュニケーション・センター
主幹研究員/研究プロデューサー
小林 奈穂
京都大学法学研究科特任教授/弁護士(日本・ニューヨーク州)
羽深 宏樹
一般社団法人コード・フォー・ジャパン
代表理事
関 治之
東京大学経済学部教授 /
東京大学マーケットデザインセンター(UTMD)所長
小島 武人