ベイタウン夏まつり「しあわせ屋台」出展レポート

 
 
Well-being研究プロジェクトでは、多様な他者と協働し、地域の未来に向けた道筋をデザインする手法を研究開発しています。研究開発においては、地域での実践を通じて得られた知見を、地域の人々にも還元しながら磨いていくことを目指しています。 本稿では、その取り組みの一つとして、千葉県・幕張ベイ地区のベイタウン夏まつりで実施している「しあわせ屋台」の内容と、そこで得られた学びを紹介します。

地域住民・自治体・大学のみなさまとともに幕張ベイ地区で実践しているウェルビーイングな街づくり活動のひとつとして、ベイタウン夏まつりに出展した「しあわせ屋台」の取り組みを紹介します。これらの実践結果は、研究成果物として、 Well-beingデザインフレームワーク の作成などに反映されています。

幕張ベイ地区とベイタウン夏祭り

JR海浜幕張駅からほど近い幕張ベイ地区は、1995年に街びらきがなされた「幕張ベイタウン」と、2019年に街びらきが行われ現在も開発が進む「幕張ベイパーク」の2つのマンション街から構成されています。ベイタウンには現在、約25,000人が暮らしています。

「ベイタウン夏まつり」は、「街の子どもたちに日本の文化を体験してほしい」という思いから、1996年に始まった地域の夏まつりです。大通りを出店が埋め尽くし、多くのイベントが開催されます。2025年の来場者は35,000人に達しました。

幕張ベイ地区とのかかわり

Well-being研究プロジェクトでは、2022年より幕張ベイ地区にて「ウェルビーイングな地域づくりのための共創デザイン手法」に関する実践研究を進めています。活動は、地域のキーパーソンと出会い、お互いの関係性を構築するところから始まりました。その実践活動は、時速20キロ未満で公道を走るEV「 グリーンスローモビリティ(グリスロ) 」の、住民ボランティアによる2週間の実証走行に伴走する取り組みへと発展しました。実証走行では、「車両内で知らない人同士でも会話が弾むことが楽しい」「車両の外の人にも手を振りたくなる」といった声が得られ、グリスロが“動くサロン”として機能しうる価値が確認されました。

この気付きをきっかけに、「ウェルビーイングな街づくり」をキーワードとして、幕張ベイタウン自治会連合会傘下に、地域住民ボランティアからなる特別委員会「幕張ベイ・グリスロプラス」が2023年に設立されました。現在は、千葉市に加え、活動に関心を持つ複数の大学も参画しており、産学官民の連携で活動が行われています。

しあわせ屋台で提供した体験

グリスロプラスの活動を通じて得たウェルビーイングに関する学びや経験を地域の人々に還元する場として、当プロジェクトだけでなく、地域住民、東京工科大学、日本大学、千葉大学の各大学の先生方・学生、ならびに千葉市交通政策課のみなさまなど多様なメンバーでの運営により、2024年より「しあわせ屋台」という名前でベイタウンのお祭りに出展しています。

「しあわせ屋台」では、ベイ太くん(ベイタウンのグリスロの愛称)の試乗体験に加え、ベイ太くんに対する思いやメッセージを集める「ベイ太くんパレット」、まちの人々のウェルビーイング(しあわせ)を集めて記録する「しあわせの木」、を実施しました。また、心身のウェルビーイングの実践として、自分を思いやる「セルフコンパッション」の紹介と実践体験の機会を設け、千葉大学による健康に関するクイズなど、健康情報の提供などの体験を提供も行いました。

当日の様子と、事後に見えてきたこと

お祭りの熱気の中、ベイ太くんには乗車しきれないほどのお客様が集まりました。乗車後には「ベイ太くんパレット」や「しあわせの木」にコメントを残す方が多く見られ、笑顔が生まれていたことが印象的でした。地域の外から関わる運営メンバーにとって、地域に受け入れてもらえるような体験であり、事後のヒアリングからは、地域の人々にとっても「わたしたち」としての一体感がより強まった様子が伝わりました。

まとめ

しあわせ屋台は、地域のウェルビーイングと自分たちのウェルビーイング、共に大事にしていく、Social Well-beingな実践の一つであったように思います。

著者

橋本 遼 はしもと りょう
NTT株式会社 社会情報研究所 Well-being研究プロジェクト
産学官民による共創活動の現場で様々な人々と関わりながら、価値観を尊重し、思いやりのある対話や共創活動の実現を支援する方法論やツールの研究を行っています。