2026/03/17
K.Arai
本記事では,CAMARAプロジェクトと他関連団体(3GPP,GSMA)の関係と役割について紹介します。
前回記事 では,NTT研究所がCAMARAプロジェクトに加盟した背景やCAMARAの概要について紹介しました。
本記事では,CAMARAプロジェクトとモバイル通信分野の主要団体(GSMA、3GPP)の役割と関係を整理し,NW-APIの標準化がどのような枠組みで進められているのかを解説します。
CAMARAプロジェクトは,Linux Foundation傘下で2022年に発足したオープンソースプロジェクトであり,通信事業者がアプリケーション事業者向けに提供するNW-API(ネットワークAPI)の仕様策定を行っています。
参画企業は,大きくNW-APIを提供する側と利用する側に分けられます1。
NW-APIは,通信事業者のネットワーク機能やネットワーク内の情報を外部アプリケーションから利用するためのAPIです。
CAMARAでは,このNW-APIをアプリケーション開発者が利用しやすい形で公開するためのAPI仕様を定義しています。
CAMARAのスコープ解説ページ2を基に通信モデルを端的に表現すると下図のようになります。通信事業者のネットワーク機能やネットワーク内の情報にアクセスするためのAPI(本記事ではInternal APIと表記)の仕様は,CAMARAでは規定していません。

上記Internal APIに相当するAPIの一部は,モバイルの技術仕様を策定する3GPPにて規定されています。
例えば,CAMARAの代表的なAPIの一つであるQoD APIを例にとると,想定されるキャリア実装としては内部的に3GPP定義のAPIを発行することになります。
以下の図は,QoD APIの発行をトリガに実行される制御ルートを,5Gコアネットワークの機能ブロックレベルで示したものです(5Gコア網内の大まかな処理の流れは 3GPP TS 23.5023を参照)。

CAMARA APIは3GPPで定義されるネットワーク機能などを活用する形で,アプリケーション開発者が利用しやすい形で抽象化したAPIと位置付けることができます。
このようにCAMARA APIの実際のデプロイでは多段構成になるケースがしばしばあるため,効率の観点では最適な構成とは言えません。
しかし,3GPPで定義される3rd-party向けのAPI機能をアプリケーション事業者が直接利用するユースケースは広がっていないことから,NW-APIの利用促進の観点では現実的なアプローチと考えています。
CAMARAが策定するNW-APIは,主にモバイル通信事業者のネットワーク機能を利用することから,モバイル通信業界団体であるGSMAが推進するOpen Gateway4と呼ばれるプロジェクトと密接に連携して仕様策定が進められています。
GSMAのOpen Gatewayは,2023年にGSMAで発足したプロジェクトです。オペレータ提供のNW-API利用促進を目的として,主にユースケース検討,広報活動,適合性認定等が行われています。
下図のように,CAMARAがAPI仕様の技術策定を担うのに対し,GSMAではユースケース整理や普及活動などビジネス的側面を扱うという役割分担になっています。

GSMAのサイトでは,APIごと・地域ごとのデプロイメント状況が管理されています5。下記の画像は,CAMARAのNumber Verification APIのデプロイメント状況を示したものです。
現時点で20種類のAPIに関するデプロイ状況が登録されており,SIM Swap / Number Verificationといったセキュリティ分野(本人確認系)系APIのデプロイが多く,初期ユースケースとしてはセキュリティ分野での活用が広がっていることがわかります。
本記事では,CAMARAプロジェクトとモバイル通信分野の関連団体(GSMA,3GPP)の役割と関係について整理しました。
NW-APIの標準化は複数の団体が役割分担しながら進められており,CAMARAはアプリケーション開発者向けAPIの策定で中心的な役割を担っています。
本記事は,NTTネットワークサービスシステム研究所 ネットワーク基盤技術研究プロジェクト ノード処理基盤研究グループの RTC (Real-Time Commmunication) チームが執筆しています。 当チームでは,商用サービス開発とは独立した立場から,将来のRTCサービスを支える基盤技術の創出を目的としたコア研究として,RTC関連技術の研究開発および3GPPやCAMARA等における標準化活動に取り組んでいます。
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