NTTデジタルツインコンピューティング研究センターが掲げるグランドチャレンジ(研究目標)を出発点として、Sci-Fiプロトタイピングという手法を用いて2050年の未来像を小説として描き出しました。本ページでは、そのグランドチャレンジ、および小説に関連の深い研究中の技術についてご紹介します。
デジタルツインコンピューティングのグランドチャレンジ
今回の小説を生み出したSci-Fiプロトタイピングの取り組みは、2020年11月にNTTデジタルツインコンピューティング研究センタが掲げたグランドチャレンジ(研究目標)の実現に向けた取り組みの一つです。
「未完成感性社会」はグランドチャレンジの「感性コミュニケーション」、「AMのライフサイクルAnother pain.」は「Another Me」に深く関係しています。
- ヒトと社会のデジタル化世界を創造するデジタルツインコンピューティング構想の実現へ向けた研究開発[Link]
- 人デジタルツイン×Well-being[Link]
未完成感性社会
小説では、 感性翻訳・感性検査・感性深化など感性を計測し活用する技術や、感性マーケティング・感性市場・感性に応じた人材育成など、
その技術によって変わりゆく社会や組織、そしてその変化のなかで生きる一人一人の人間のありようを描いています。
感性コミュニケーションの全般的な紹介
言語や文化の違いだけでなく、経験や感性などの個々人の特性の違いを超えて、心の中の捉え方や感じ方を直接的に理解し合える新たなコミュニケーションの実現を目指しています。
- 感性コミュニケーション技術の実現に向けた熟練度と対話満足度に関する取り組み(NTT技術ジャーナル2022年1月号)[Link]
- 感性コミュニケーションの実現に向けた脳科学応用技術(NTT技術ジャーナル2023年2月号)
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- DTC実現に向けた「感性コミュニケーション」を支える研究開発の取り組み(電子情報通信学会 2022年度総合大会)
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感性を相互に理解するための技術
感じ方、経験、能力などが多様な人々の間で、違いを超えた相互理解の実現を目指す研究を行っています。小説内では、将来の発展の可能性として"感性翻訳"として登場していました。
- ユーザに応じた共同作業支援に向けた視線情報に基づく熟練度推定手法の基礎検討(電子情報通信学会 ライフインテリジェンスとオフィス情報システム研究会 2022)
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- ヒトとモノのデジタルツインの 掛け合わせによる 新しいサービス創出に向けて(日本バーチャルリアリティ学会誌 2022)
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- 対話参加者の積極性と影響度に基づく主観評価推定技術(2022年度人工知能学会全国大会)
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感性を計測し感性の違いを知るための技術
人が物事に対してどのように感じているか、その印象の違いをどれだけの細かさで感じ取れるかを推定し、可知覚化することで自身の感性や他者との感性の違いに気づく支援をする研究に取り組んでいます。小説内では、将来の発展の可能性として"感性検査"として登場していました。
- 将棋における意見の不一致と受容に関する脳波反応(Neuro2022)
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- 短文指示に対する主観的印象のERP分析(Neuro2022)
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- 脳波を用いた表情生成に関する一検討(PCSJ/IMPS 2022)
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- 頭皮脳波を用いた心的イメージの再構成手法の検討(PCSJ/IMPS 2022)
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- 脳の状態を可知覚化し、心と心を繋ぎます(NTT R&Dフォーラム2022 展示)
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AMのライフサイクル Another pain.
小説では、高齢者の介護やカスタマーサービスの対応業務を行うAnother
Meをはじめ、交際関係のマッチング、都市規模の交通予測シミュレーションなど、デジタルツインコンピューティング構想に関わる様々な技術が登場しています。
Another Meの全般的な紹介
本人のように振る舞い、本人と共に成長するデジタル空間上の分身「Another Me」の実現を通じて、時間・空間の制約無く、人と人とのかかわりを促進し、自己実現の幅を広げることを目指しています。
- デジタルツインコンピューティング構想実現に向けた技術開発Another Meを実現する技術群 (NTT技術ジャーナル2022年1月号)[Link]
- Another Me技術による「獅童ツイン」実現の試み(NTT技術ジャーナル2023年2月号)[Link]
- Another Meを構成する技術群(NTT R&Dフォーラム2022 展示)[Link]
Another Meを構成する技術
価値観や性格、コミュニケーションの取り方など、その人ならではの特徴の抽出・再現する
- テキストの文脈生成に基づくユーザ埋め込み表現学習(日本データベース学会 データ工学と情報マネジメントに関するフォーラム 2022)[Link]
- 複数人対話の文字起こしデータを用いた話者名推定手法に関する検討(情報処理学会 自然言語処理研究会 2022)[Link]
- 作業フォルダを基にした個人知識グラフの自動構築手法に関する検討(人工知能学会 セマンティックウェブとオントロジー研究会 2022)[Link]
- 性格特性を考慮した非言語行動自動生成モデルの構築(電気電子通信学会 ヒューマンコミュニケーション基礎研究会 2022)[Link]
- 個人性の再現を目指したユーザ属性付き雑談対話事前学習モデルに関する一検討(人工知能学会 言語・音声理解と対話処理研究会 2022)[Link]
- Impact of Personality on Nonverbal Behavior Generation(Intelligent Virtual Agents
2020)[Link]
- How People Distinguish Individuals from their Movements: Toward the Realization of
Personalized
Agents(Human-Agent Interaction 2021)[Link]
周囲の状況を理解し、自身の立場に基づいた自律的な対話を再現する
- 質問意図の明確化に着目した機械読解による質問応答手法の提案(人工知能論文誌 2019)[Link]
- 問い返し可能な質問応答:読解と質問生成の同時学習モデル(日本データベース学会論文誌 2020)[Link]
コミュニケーションの経験をわかりやすく本人に伝え、Another Meとの一体感を向上させる
- 空間メタファを用いた経験の再固定化,および,経験転写技術の検討(ヒューマンインタフェース学会 ヒューマンインタフェースシンポジウム2022)[Link]
- Effect of repetitive motion intervention on self-avatar on the sense of
self-individuality
(Human-Agent
Interaction 2022)[Link]
Another Meの社会普及に向けた取り組み
Another Meと利用者との関係や社会に与える影響を、哲学・倫理・法学などの分野から検討・評価しています。また、安全・安心に提供するためのセキュリティの検討も進めています。
私らしさの哲学的定義・工学適用および、ELSI(倫理・法・社会的影響)評価
- 人のデジタルツインの受容に関する一考察(情報処理学会 セキュリティと心理学とトラスト研究会 2021)[Link]
- 人のデジタルツインの他者視点での位置づけに関する考察(情報処理学会 セキュリティ心理学とトラスト研究会 2022)[Link]
- 人のデジタルツインの活躍に関する考察 [Link]
- A Study of Acceptance of Human Digital Twin in Philosophical approach (IEEE Future Tech
Forum: Digital
Twins
Roundtable 2022)[Link]
デジタルツインコンピューティングに関するセキュリティの検討
- Digital Twin Computingのセキュリティに関する二,三の考察(情報処理学会 セキュリティと心理学とトラスト研究会 2021)[Link]
交際関係のシミュレーション技術
個人の好みや性格などをコミュニケーションデータから抽出し、デジタル空間上で再現することで、交流関係をシミュレーションする研究を行っています。
- マルチユーザーチャットからの個人の知識や交流傾向を考慮したユーザ埋め込み表現学習(日本データベース学会 データ工学と情報マネジメントに関するフォーラム 2022)[Link]
交通予測シミュレーション技術
多様なセンシングデータをリアルタイムに統合し、様々な未来予測を可能にするデジタル基盤の研究を行っています。
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