カーボンネガティブとは?概要と背景・CO2削減を実現するためのネガティブエミッション技術を解説

      カーボンネガティブとは、産業活動などによって大気中に排出されるCO2などの温室効果ガスの量が、森林などに吸収される量よりも少ない状態のことをいいます。地球温暖化への対応策として、CO2などの温室効果ガス削減が求められていますが、それに伴い大気中のCO2削減につながるネガティブエミッション技術が注目されています。ネガティブエミッション技術を活用してカーボンネガティブを実現した事例もあり、さらなる技術開発が期待されています。
      この記事ではカーボンネガティブや関連する語句、CO2削減をめざすネガティブエミッション技術などを解説します。(公開日:2023/02/01 更新日:2024/03/01)

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      1. カーボンネガティブとは

      「カーボンネガティブ(carbon negative)」とは、温室効果ガスの吸収量が排出量を上回っている状態をさします。近年注目を集めているカーボンネガティブですが、注目の背景には地球温暖化の進行に対する懸念があります。
      「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第6次評価報告書」では、「人間の影響が大気、海洋および陸域を温暖化させてきたことには疑う余地がない」という内容が公表されました。
      温室効果ガスには二酸化炭素(CO2)のほか、メタン(CH4)、一酸化二窒素(N2O)などがありますが、CO2は温室効果ガスの7割以上を占め、地球温暖化への影響が最も大きいといわれています。このため、産業活動からのCO2排出削減が地球温暖化防止に効果的であるとして、世界各国で対策が講じられています。
      ここでは、カーボンネガティブや混同されやすい用語について解説し、カーボンネガティブ実現のためには何が必要かを説明します。

      1-1. カーボンニュートラル・カーボンポジティブとの違い

      まず、「カーボンニュートラル(carbon neutral)」について説明しましょう。カーボンニュートラルとは、「カーボン=炭素」「ニュートラル=中立」を組み合わせた用語で、CO2排出量と吸収量が相殺されている状態のことです。たとえば、産業活動によってCO2が排出された場合、この排出量に相当する規模の植林などを行うことでカーボンニュートラルを実現できます。
      一方、カーボンネガティブはCO2吸収量が排出量を上回る状態のことで、カーボンニュートラルよりも脱炭素化を進めた状態になります。

      似た用語に「カーボンポジティブ(carbon positive)」がありますが、こちらもカーボンネガティブと同義で、CO2排出量より吸収量が上回っている状態を表すものです。「CO2除去=ネガティブ」と表現するか、「CO2吸収=ポジティブ」と表現するかの違いによるもので、反対語ではあるものの、同じ意味を示しています。
      CO2の排出削減をめざすという意味ではカーボンネガティブ、カーボンニュートラル、カーボンポジティブのいずれも方向性は同じです。

      1-2. カーボンネガティブをめざすには

      カーボンネガティブを実現する、つまりCO2の吸収量が排出量を上回る状態にするためには、まずカーボンニュートラルを実現することが前提となります。
      後述する「2050年カーボンニュートラル」宣言で日本はカーボンニュートラルをめざしていますが、この目標達成には多くの課題があり、さまざまな分野で技術革新が求められます。大気中のCO2を削減するネガティブエミッション技術が注目される理由には、こういった背景もあるのです。

      国単位でのカーボンネガティブの達成はカーボンニュートラルの達成よりも困難ですが、企業や自治体、業界などの単位でカーボンネガティブを達成することは、ネガティブエミッション技術の活用によって可能といえるでしょう。例としては、企業の植林活動などによって植物が吸収したCO2量が、企業活動で排出したCO2量を上回った状態を実現できていれば、カーボンネガティブ達成といえます。

      2. カーボンネガティブの意義とは

      カーボンネガティブの概要がわかったところで、カーボンネガティブにはどのような意義があるのか、その背景や経緯について説明します。
      気象庁によると、1891年の統計開始以来、世界の年平均気温は変動しながらも上昇しています。100年あたり約0.76℃の割合で上昇し、特に1990年代半ば以降は上昇傾向がより強まっています。この地球規模での気温上昇が「地球温暖化」です。

      (画像出典:気象庁『世界の年平均気温』緯度経度5度の格子ごとに見た年平均気温の長期変化傾向1891―2023年、1979年-2023年)

      地球温暖化に伴い、熱波や干ばつ、大雨などが各地で発生しています。すでに農作物への影響が表れている地域もあり、このままでは自然環境や人間社会への影響が深刻化することが予想されています。
      そこで地球温暖化を防止するための対策として、温室効果ガス排出を削減する国際的な取り組みが構築されてきたのです。

      2-1. パリ協定から2050年カーボンニュートラルへ

      2015年の第21回気候変動枠組条約締約国会議(COP21)では、2020年以降の温室効果ガス排出削減などのための新たな国際枠組みとして、「パリ協定」が採択されました。同協定では、平均気温上昇を産業革命(18世紀後半)以前に比べて2℃より低く保つこと、また1.5℃に抑える努力を追求することを世界共通の長期目標としています。
      これを受け日本では、2030年度の温室効果ガス排出を2013年度の水準から約26%削減することを中間目標として定めました。さらに2020年には、温室効果ガス排出を2050年までに実質ゼロにすることをめざす「2050年カーボンニュートラル」を宣言しました。
      再生可能エネルギーの導入やエネルギーの効率化によって排出削減を進めつつ、CO2を吸収するネガティブエミッション技術を活用することで、2050年までにCO2排出実質ゼロをめざすものです。

      2-2. カーボンネガティブは実現できるのか

      カーボンネガティブを実現するために、まずはカーボンニュートラルの達成が必要であることは前述のとおりです。パリ協定以降、カーボンニュートラルをめざす動きは世界中に広まっており、2021年11月時点で154か国と1地域が2050年等の年限を区切ったカーボンニュートラルの実現を表明しています。
      目標達成のハードルは非常に高く、先進国などCO2排出量の多い国では産業構造や経済社会の大きな変革を求められます。しかし、日本においてはこれを経済成長のリスクではなくチャンスと捉え、脱炭素社会の実現をめざす企業の支援や研究開発への投資促進などを加速させようとしています。ちなみにパリ協定締約国198の国・機関のうち、すでにカーボンネガティブを達成したとされる国はブータン王国とスリナム共和国の2か国ですが、CO2排出量の実態を正確に計測する方法については、いまだ議論が行われているのが実情です。また、いずれの国も経済規模が比較的小さく、森林資源の豊富な国であることなどが、好材料になっているともいわれています。日本国内においては、政府による「2050年カーボンニュートラル」宣言後、991の地方自治体(2023年9月時点の都道府県と市町村の合計)が同様の宣言を表明しており、このうち大分県国東市と福岡県久山町はカーボンニュートラルの発展型であるカーボンネガティブをめざすことを宣言しました。

      3. カーボンネガティブを実現するための技術とは

      カーボンネガティブ実現のためには、CO2排出量よりも吸収量が多くなることが必要です。排出が多ければそれだけ必要な吸収量も増えるので、まず排出を最小限にする努力が求められます。
      省エネや再生可能エネルギーの利用、低炭素燃料への切り替えなどでCO2排出は削減できます。しかし化学品など、製造過程での脱炭素化が技術的に難しい産業もあります。こういった削減しきれない排出量を相殺するために、大気中のCO2を吸収するネガティブエミッション技術を活用するのです。
      ネガティブエミッション技術にはまだ開発段階のものも多く、進捗状況もさまざまです。また、それぞれのCO2削減効果を正しく評価するためには、原料の調達から消費、廃棄までを含めた一連のライフサイクルのなかでのCO2収支を評価するLCA(ライフサイクルアセスメント)を考慮する必要もあります。

      ここではネガティブエミッション技術について、植林など自然のCO2吸収プロセスを人為的に促進させる手法、工学的にCO2を回収する手法の2つにわけて紹介します。

      ネガティブエミッション技術
      自然のプロセスを人為的に促進させる手法 工学的な手法
      植林、再生林 大気中CO2を直接回収する技術(DAC)とCO2貯留技術(CCS)を組み合わせたもの(DACCS)
      風化の促進 バイオマス燃焼時のCO2を回収する技術とCCSを組み合わせたもの(BECCS)
      土壌炭素貯留
      ブルーカーボン 人工光合成

      3-1. ネガティブエミッション技術その1 :自然のプロセスを促進させる

      大気中のCO2を削減させる自然のプロセスといえば、森林の光合成によるCO2吸収作用を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。
      ネガティブエミッションは、大気中のCO2を人為的に削減する技術なので、森林の場合は植林したり、減少した森林を再生させたりすることがネガティブエミッション技術になります。ここではこういった自然のプロセスを促進させる技術について紹介します。

      植林・再生林

      森林の造成や再生は、大きなエネルギー消費を伴わず低コストでできる技術です。
      国土の保全や水資源確保の観点からも重要な自然資源ですが、CO2吸収という意味では広大な土地を要することが問題です。草地や農地への転用は生物多様性への影響も考慮しなければなりませんし、限られた国土のなかで森林資源を増やすにも限りがあります。
      そこで、植林地のCO2吸収効率を上げるため、従来品種に比べ成長速度が1.5倍以上の「エリートツリー」のような品種改良が進んでいます。また、土を使わずに発根させる技術による苗木生産の効率化や、ゲノム情報を活用したDNAマーカーによって育種期間の短縮化などを図る技術開発も進んでいます。
      ほかにもゲノム編集によって、植物や藻類のCO2吸収能力を高めたり、少雨・貧栄養土壌など劣悪な環境でも生育する品種を作り出したりする研究が行われています。

      風化の促進

      岩石は風雨にさらされながら数千年から数万年かけて風化します。玄武岩などに含まれるケイ酸塩は、水との反応によって大気中のCO2を吸収するため、岩石を粉砕して表面積を増やせばCO2吸収作用が促進します。これを人為的に行う技術が風化促進です。
      耕作地の風化促進では、土壌pHの改善やミネラル供給など作物の生産性の向上が期待できます。ただ風化促進に特化した研究は国内ではまだ不十分であるため、CO2削減効果や環境リスク評価、実用化に向けた検証が今後も必要となってきます。

      土壌炭素貯留

      堆肥や緑肥などの有機肥料を農地に投入すると、土壌微生物が分解します。分解によってCO2が発生しますが、一部は分解されにくい有機炭素となって長期間土壌に留まります。この仕組みが土壌炭素貯留です。
      農地の炭素貯留として研究が進められている技術としてバイオ炭の活用があります。木炭や竹炭のように生物由来の資源(バイオマス)を炭化させたもので、稲わらや家畜の糞尿、下水汚泥などを原料とするバイオ炭もあります。
      炭は一般的には燃料として活用されていますが、日本では従来農地の透水性を改善する土壌改良材としても使われてきました。バイオ炭は土壌中でも長期間分解されずに残るため、農地への投入は土壌改良と炭素貯留の両方の効果が期待できます。
      とはいえ、土壌炭素貯留の効果についてはまだ明らかになっていないことが多く、長期のモニタリングなどが必要です。バイオ炭についても、原料や製法によって貯留性や土壌改良効果が異なるため、それぞれの条件下で有効性を検証していくことが必要です。
      既存の土壌改良材と比べて割高であることも課題のひとつで、コストに見合った収穫が見込めるような高性能バイオ炭の開発が求められています。

      ブルーカーボン

      植物の光合成など、生物が大気中から吸収したCO2に由来する炭素(グリーンカーボン)のうち、海洋生態系によるものをブルーカーボンと呼びます。
      ブルーカーボンを取り込む生態系としては、マングローブ林、塩性湿地、海草や海藻の藻場があります。四方を海に囲まれた日本では沿岸域の藻場がCO2吸収ポテンシャルの7割以上を占めています。多様な藻場のCO2吸収量を正しく反映させるため、海藻の種類や地域などで分類した藻場タイプ別 CO2吸収量評価手法の開発が進められています。
      ブルーカーボンのCO2吸収ポテンシャルには、日本のみならず海外からも大きな期待が寄せられていますが、地球温暖化などの影響から各地で衰退しているのが現状です。このため既存の藻場造成手法に加え、気候変動に適応した新たな海藻育成システムの構築も求められています。

      3-2. ネガティブエミッション技術その2:DACCSやBECCS

      大気中のCO2を工学的に回収する技術をDAC(Direct Air Capture)といいます。これを地下に貯留する技術(CCS)と合わせたものがDACCSです。BECCSは、バイオマス発電などバイオマスエネルギー由来のCO2とCCSを組み合わせた技術のことをさします。ここではDACとBECCS、両者に共通するCCSについて紹介します。

      DACCS

      DACは、大気中のCO2を直接回収する技術です。これを回収して地中深くに貯留するCCSと組み合わせた技術をDACCSといいます。
      DACにおいて一番のネックになるのは、濃度0.04%という大気中CO2濃度の低さにあります。CO2分離回収技術は方法によって技術成熟度の差はあるものの、大気からCO2を回収するには多大なエネルギーを投入する必要があります。
      欧米では、2024年までに約100万トン規模の大規模プラント建設が計画されるなど、DACプロジェクトの進行が加速していますが、コストダウンと省エネルギー化はいまだ課題であり、その方策については研究が必要です。こうした課題に対応するため、アメリカは2021年、大規模CO2削減の目標「カーボンネガティブショット」を発表しました。大気中のCO2回収・貯留コストが1トンあたり100ドル以下となることをめざし、そのための技術革新を進めていく考えです。
      日本ではCO2回収効率を高める吸収材の開発、工場からの冷熱利用による省エネ化の研究、吸収したCO2を分離プロセスを経ずに化学品の原料とする技術開発などの革新的な研究開発が進んでいます。

      BECCS

      バイオマスを燃焼してエネルギーを産生し、排出したCO2を回収・貯留する技術で、一般的にはバイオマス発電とCCSを組み合わせたものをBECCSといいます。
      生物の体を構成する有機物には炭素が含まれます。この炭素の由来を食物連鎖のなかで考えると、元をたどれば植物が大気中から取り込んだCO2ということになります。このため、バイオマス燃焼時にCO2を排出してもライフサイクル全体では排出量を実質ゼロとみなすことができるわけです。さらに燃焼時に排出したCO2を回収すれば、大気中のCO2を削減したことになります。
      海外ではトウモロコシからエタノールを製造する施設や、木質ペレットの発電所と組み合わせたBECCSプラントが稼働しています。国内では、パームヤシ搾油後の殻を燃料とするバイオマス発電所(出力5万kW)で、1日のCO2排出量の約5割に当たる500トン以上のCO2を分離回収する設備が稼働しています。回収したCO2を液化・圧縮する設備を併設し、性能やコスト、環境への影響、BECCS対応設備としての運用性を検証しています。

      CCS

      CO2を回収して地中深くに貯留するCCSは、DACやBECとの組み合わせによってはじめてネガティブエミッション技術となります。以下で紹介する事例は、工場の排ガスに含まれるCO2を対象としているため、ネガティブエミッション技術とはいえませんが、ここではCCSの概要を説明するための例として取り上げます。
      まずCCSを活用するには、CO2を貯留するために適した地層が必要です。適した地層の条件としては、「CO2を貯留するためのすき間がある砂岩などの地層で、十分な量を貯留できる規模である」「CO2を貯留する地層の上部にCO2を遮蔽する泥岩などの地層がある」などが挙げられます。
      北海道苫小牧市で行われた国内初の大規模実証試験では、製油所の水素製造設備の排ガスから分離回収した累計30万トンのCO2が、海底下の貯留層へ圧入されました。これにより設備や操業の安全性が実証され、周辺環境への影響調査でも問題ないことが確認されています。
      このように技術的には完成したといえるCCSですが、実用化に向けてはコスト削減という大きな課題があります。このため、コストを含めた実用的な技術の確立をめざす研究開発が行われています。

      人工光合成

      人工光合成とは、太陽の光エネルギーを利用して大気中のCO2を別の物質に変換したり、化学製品などを作り出したりする技術です。植物の光合成を模していることから人工光合成と呼ばれており、カーボンネガティブに貢献する技術として注目されています。
      人工光合成によって作られる化学品には、プラスチック原料となるオレフィンや、天然ガスの主成分であるメタンなどがあります。また、燃焼時にCO2を排出しない水素が、次世代エネルギーとして期待されていますが、水素を安全かつ効率的に貯留するための水素キャリアとして注目されているギ酸も人工光合成によって生成されており、実用化に向けた技術開発が進められています。
      人工光合成の主な課題は、光エネルギーによって化学反応を促す光触媒の光エネルギー変換効率の向上です。
      植物におけるエネルギー変換効率は一般的に0.2~0.4%で、効率の高いサトウキビでも2.2%程度ですが、人工光合成の場合、実用化の目安は10%以上といわれています。開発当初は植物と同程度の変換効率でしたが、近年は数%を超える技術が相次ぎ、すでに10%超を達成した事例も報告されています。
      またエネルギー変換効率は、利用できる光の量を増やす(=光量子収率を高める)ことでも向上します。これまで開発された光触媒では光量子収率が50%に達するものがほとんどありませんでしたが、日本の研究プロジェクトによって世界ではじめて100%に近い光触媒が開発されました。
      さらに、光触媒が吸収する光の波長はほとんどが紫外線の領域ですが、可視光による人工光合成を可能とする光触媒の開発など、より高精度な光触媒の開発をめざす研究が進められています。
      そのほか実用化に向けた課題としては、触媒や反応装置の大量生産および大型化が挙げられます。これについては印刷技術を応用した製造法や、基盤に使用する素材の開発などによって、安全性や耐久性を備えた装置の開発をめざしています。

      3-3. カーボンネガティブコンクリート

      カーボンネガティブコンクリートとは、コンクリートの製造過程で排出するCO2を減らし、さらにCO2を吸収した素材を混ぜ合わせることで、製造工程全体で排出されるCO2量をゼロ以下に引き下げたものです。

      コンクリートの材料となるセメントは製造過程で大量のCO2を排出します。セメント1トンあたりのCO2排出量は約720kgで、コンクリートに換算すると1平方メートルあたり約270kgに相当する量です。

      そこでセメントの代替として、セメントよりCO2排出量が少ない産業副産物を使用します。代替となる産業副産物には、石炭火力発電所で石炭燃焼時に生じるフライアッシュや、製鉄所の高炉で鉄鉱石を溶融・還元する際に発生する高炉スラグがあります。さらに、素材の主成分となる炭酸カルシウムの原料に産業廃棄物や排ガス由来のCO2を使ったり、CO2と接触してコンクリートを硬化させる素材を混ぜ込んだりすることで、排出量よりも吸収量が増えるカーボンネガティブを達成しているのです。

      一方、こうしたカーボンネガティブコンクリートには、CO2によって金属にさびが発生しやすく、鉄筋コンクリートには使えないなど、用途が限られる側面もあります。
      カーボンネガティブコンクリートを今後さらに普及させるためには、コンクリートとしての性能を維持しつつCO2吸収量を増大させたり、コストダウンを図ったりする必要があるといえるでしょう。

      4. まとめ

      • カーボンネガティブとは、CO2の排出量よりも吸収量の方が多い状態を表す。
      • 企業が脱炭素経営の目標としてカーボンネガティブを掲げることがある。
      • カーボンネガティブは、地球温暖化が進み、温室効果ガス削減の取り組みが世界的に進められるようになってから広まった用語である。
      • 努力しても削減できないCO2排出をマイナスに転じる技術としてネガティブエミッション技術が注目されている。
      • ネガティブエミッション技術には、自然のプロセスを促進させるもの、工学的な手法のもの、複数を組み合わせたものなどがある。
      • ネガティブエミッション技術の実用化に向けては、技術ごとの効果やコストについてライフサイクル全体を捉えて正しく評価する必要がある。
      • コンクリートの分野では、CO2を吸収したカーボンネガティブコンクリートが商品化している。

      参考文献

      日本電信電話株式会社外からの寄稿や発言内容は、
      必ずしも同社の見解を表明しているわけではありません。

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