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『詰将棋の世界』趣味の詰将棋で培われた2つの思考法|NTT研究員がすすめる一冊

NTT宇宙環境エネルギー研究所にて、環境負荷ゼロ研究プロジェクト 次世代エネルギー技術グループで主任員を務める吉田氏。研究分野は次世代エネルギーで、核融合炉で核融合を起こして発電・発熱し、長時間維持する太陽のようなものを生み出すための研究を行っています。
今回は吉田氏におすすめの書籍として『詰将棋の世界』を選んでいただきました。書籍の内容を交えながら、吉田氏の研究に活かされる思考法について、話をうかがいます。

吉田 芳浩 (よしだ よしひろ)

NTT宇宙環境エネルギー研究所 環境負荷ゼロ研究プロジェクト 次世代エネルギー技術グループ 主任研究員。
大阪府立大学工学部卒業。専門はソフトウェア開発管理、セキュリティー。2021年よりNTT宇宙環境エネルギー研究所に所属。環境負荷軽減につながる核融合プラズマのシミュレーション実現のための研究に携わる。

1. 10代から楽しむ「詰将棋」。実は藤井聡太棋士と同じ大会に出たことも

今回紹介していただく書籍『詰将棋の世界』は、タイトルどおり詰将棋について書かれた本ですね。まず、詰将棋について教えてください。

詰将棋は、将棋を使ったパズルだと考えてください。一対一の指し将棋を一通りできる人向けに作られた将棋の問題で、解答はひとつになるように作られています。古くは江戸時代から作られ、出題者・解答者、双方の立場で楽しまれてきました。

私はもともと将棋が趣味で、詰将棋も10代の頃から触れてきました。詰将棋解答選手権という、藤井聡太棋士が5連覇中の大会に参加したこともあります。

そういった背景もあり、書店の将棋のコーナーでたまたまこの本を見つけた際に購入しました。購入後に知ったことですが、周りの関係者の多くの方がこの本のことをご存じのようでした。

2. 「詰将棋」に触れて培われた2つの思考法

詰将棋に取組んできた経験が活かされていると感じる要素はありますか。

純粋に趣味として楽しんできた詰将棋ですが、仕事にも、生活にも、詰将棋で培った思考法が活かされていると感じることは少なくありません。特に「場合分けによる論理的思考」と「視点を変える思考」の2つの思考法は、物事を考える時のベースになっています。

場合分けによる論理的思考力

まず意識しているのは、物事を感覚ではなく論理的に分類・整理することです。ビジネスにおいても、必要な要素を網羅しながら重複しないように物事を整理するMECE(ミーシー)という論理的思考法があると思います。

私の場合は、このMECE的思考法を詰将棋によって自然に身につけられたと考えています。詰将棋のおかげで、研究に取組む際にも物事を場合分けし、過不足なくあらゆる条件で考えることを意識できていると思います。

視点を変える思考力

多くの人が取組む詰将棋の世界では、多様なアイデアが盤面で形となり、数多くの問題と解答が作られてきました。このような多彩なアイデアをヒントに次々と新たなルールや楽しみ方が生み出されています。

たとえば本書中にも紹介されていますが、詰将棋には「フェアリー詰将棋」というものがあります。フェアリー詰将棋は、特殊な制限や駒を導入し、既存のルールを変えて楽しむ詰将棋のことです。詰将棋に新しい要素を導入することで、新しい楽しみ方が生まれます。

このような新しい視点は研究においても重要です。研究においては「既存の研究とは異なる視点を持つ」「先行研究を別の視点で一からやってみる」という姿勢が発見や成果につながると思います。

たとえば、現在私たちはQST(国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構)と連携協定を結び、核融合を研究しています。連携協定は1年半ほど前に結ばれましたが、核融合は以前から世界中で研究されてきました。

だからこそ私たちは、既存の専門的な研究とは別の視点を持ち込むことを期待されています。これまでは数学的・物理学的観点での研究が主体でしたが、それとは異なる「コンピューターのシミュレーションでどうできるか」という、自分たちが得意とする視点を持ち込んで取組んでいます。

3. 詰将棋の思考法は仕事や生活に活かせる。だからこそ書籍も手に取って欲しい

詰将棋の思考法、いずれも興味深いですね。どちらの思考法も、研究に限らずいろいろな場面で活用できそうです。

そうですね。研究以外の分野の仕事や日々の生活でも、詰将棋の思考法は活かせるはずです。「藤井くんや羽生さんから将棋に興味を持った」というきっかけでよいと思うので、「こんな世界もあるんだ」という感覚で書籍を手に取って、詰将棋に興味を持っていただけるとうれしいですね。

もちろん、詰将棋に触れてみたいという人にとって、この本は良い入門書になると思います。実は私が若い頃に作った作品も載せていただいているので、見つけてチャレンジしてもらえたら幸いです。

紹介書籍

タイトル 『詰将棋の世界』
著者   齋藤夏雄
出版社  日本評論社 2021年

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