AGNTCon + MCPCon Japan 2026 参加レポート

2026/09/15

R.Suzuki

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2026年9月10日から11日にかけて東京で開催されたAGNTCon + MCPCon Japan 2026に参加してきましたので,現地の模様をご紹介します。


はじめに

こんにちは。鈴木です。

当チームでは,リアルタイムコミュニケーション(RTC)仕様の検討・標準化に加え,Network for AIの観点でのNW-API/RTCに関する技術検討・標準化を担当しています。

今回は,2026年9月10日から11日にかけて東京で開催されたAGNTCon + MCPCon Japan 2026に参加しましたので,その様子をご紹介します。

AGNTCon + MCPCon Japan 2026とは

AGNTCon + MCPCon Japanは,AIエージェント(AGNTCon)とMCP(MCPCon)をテーマにした技術カンファレンスです。MCP(Model Context Protocol)はAIエージェントが3rd-partyのツールを利用するための標準化されたプロトコルです。Linux Foundation配下のAAIF(Agentic AI Foundation)が主催しており,海外・国内の企業やOSSコミュニティなどから登壇者が集まりました。

2日間のプログラムは,基調講演,複数トラックに分かれたブレイクアウトセッション,ハンズオン形式のワークショップ,スポンサー各社によるソリューションショーケースで構成されていました。

会場の様子

会場は東京(ベルサール渋谷ガーデン)です。基調講演のホールはほぼ満席で,AIエージェントとMCPへの関心の高さがうかがえました。

基調講演会場の様子
基調講演会場の様子

ブレイクアウトセッションは複数の小ホールで並行して行われ,ワークショップでは聴講者が各自のPCで手を動かしながら進める形式がとられていました。

ブレイクアウトセッションの会場
ブレイクアウトセッションの会場

休憩時間にはソリューションショーケースのエリアに人が集まり,スポンサー企業のデモや参加者同士の情報交換が行われていました。

ソリューションショーケースの会場
ソリューションショーケースの会場

海外からの登壇者が多いイベントでしたが,会場ではWebブラウザから利用できるリアルタイム翻訳が用意されており,英語講演を日本語字幕で追いながら聴講することができました。

リアルタイム翻訳のWeb UI
リアルタイム翻訳のWeb UI

講演概要

2日間の講演を振り返ると,内容は大きく4つのジャンルに分かれていました。

  1. 基調講演:MCPが開発者レベルでは広く使われるようになった一方で,本格的なビジネスユースに向けた認可・トレースの整備はこれからという現況がAAIFやMCP標準化のキーパーソンから語られました。
  2. MCP利用における課題:ツール設計の指針やツール利用時のトークン消費削減など,MCPを大規模に運用して見えてきた課題への対応が語られました。
  3. AIを使った業務改善:日常業務の効率化へのAIエージェントの利用や,社内業務用AI群を統括するゲートウェイの導入といった,利用者側の実践が共有されました。
  4. 個別製品のプロモーション:AIエージェントとMCPサーバの間に仲介層を置き,認証・認可やツール実行の制御を行う製品など,スポンサー企業のソリューションによる課題解決が紹介されました。
MCP共同開発者による基調講演
MCP共同開発者による基調講演

ジャンルをまたいで共通していたのは,「理念や将来像を語る」講演よりも「実際に運用して直面した課題を具体的に共有する」講演が多かったことです。MCPが公開されてから2年近くが経ち,PoCの段階を越えて本番適用に進んだ組織が増えたことの表れと考えられます。

もう一つの共通点は,「モデルの推論」と「権限・実行」を分離するという考え方です。講演からは,AIの確率的な自然言語判断が,ビジネス利用のシーンにおいて,柔軟な対応力というよりは不確実性として不安視されていることがうかがえました。ワークフローのどの要素を確定動作のツールに切り出すか,人手の介入なしにいかにAIエージェントの挙動を制御するかが,AI活用の共通の課題として捉えられているように感じます。各講演はこの課題に対し,モデルに委ねる範囲を狭め,確定的に動く部分を仕組み側に寄せる方向で答えていたと思います。

以降では現場でのAI活用で印象に残ったトピックをご紹介します。

AIを使った業務改善

海外企業による製品やMCP利用にかかわる技術的解決の講演が多い中,利用者の立場から,AIをどう業務に組み込んでいるかを語る講演があり,国内の現場感覚を知る良い機会となりました。

日常業務での利用

個人レベルの実践として,コーディング以外の業務(会議中に並行して複数のジョブを走らせる,公共入札サイトを定期巡回してチャットツールに通知するなど)でエージェントを活用している事例が紹介されました。そこから得られた知見は次のようなものです。

  • エージェントに渡す文脈が少なすぎると期待通りに動かない。話し言葉でよいので,とにかく多く文脈を渡すことが重要。
  • 人間が目標と文脈を渡し,エージェントが情報を集めて形にし,最後に人間が確認する「半自動化」の形が,どのユースケースでも共通している。
  • 操作を可逆(下書き,読み取り,集計)と不可逆(送信,提出,削除,公開)に分け,不可逆な操作だけ人間が最終ステップを担うことで,本当に会社のシステムを任せられるのかという信頼の問題をカバーできる(それでも十分生産性は高まる)。

この講演で語られた「半自動化」と「不可逆な操作だけ人間が担う」という運用は,前述の「モデルの推論と権限・実行を分離する」という考え方の実践であり,同時に,制約の多いビジネスIT環境におけるワークアラウンドの面もあると考えられます。大がかりな基盤整備を待たずとも,AIエージェントを業務で機能させることができるという点が印象的でした。

全社横断の基盤整備

組織レベルの実践として,多数の事業領域を持つ企業において,事業領域間で共通している社内業務のニーズに応じるため,全社共通のマルチエージェントプラットフォームを構築した事例が紹介されました。

  • 各部署が作成するエージェントやツールを企業レベルで安全に使うため,ユーザとAIエージェント群・MCPサーバ群の間にゲートウェイを設置。
  • ゲートウェイでは,全社の認証基盤との連携,エージェントの役割に基づく認可,ユーザ単位のトークン使用量の追跡・制御,ガードレールの一元適用を実施。
  • チーム間のインタフェースはMCPとA2Aというオープンプロトコルで統一し,エージェント開発チーム・MCP開発チーム・基盤チームの分業を可能にしている。

また,プラットフォーム自体をコーディングエージェント主導で開発するにあたっての工夫も共有されていました。

  • 設計ドキュメントの段階で,OWASP Top 10(API/LLM/Agentic)やMITRE ATT&CK・ATLASを参照し,LLMを使ったレビューで脆弱性を作り込まないようチェックを徹底。
  • 設計ドキュメントを信頼できる唯一の情報源(SSOT: Single Source of Truth)として管理し,複数のエージェントが並行開発する際の実装のばらつきを抑える。
  • コードレビューの規模をAI補助で拡大。

「仕様に書かれていない要件は実装されないか誤って実装される。セキュリティの面も仕様段階で確実につぶすことが信頼度を高めるために重要」という知見は,AI支援下の開発における仕様定義の重要性をあらためて意識させられるものでした。

おわりに

今回は,AGNTCon + MCPCon Japan 2026の様子をご紹介しました。

当チームでは今後もAI/ネットワークに関わる技術動向を紹介してまいります。

チーム紹介

本記事は,NTTネットワークサービスシステム研究所 ネットワーク基盤技術研究プロジェクト ノード処理基盤研究グループの RTC (Real-Time Commmunication) チームが執筆しています。 当チームでは,商用サービス開発とは独立した立場から,将来のRTCサービスを支える基盤技術の創出を目的としたコア研究として,RTC関連技術の研究開発および3GPPやCAMARA等における標準化活動に取り組んでいます。

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