2026/03/30
Y.Inoue, K.Arai, T.Tsujikawa
3GPP SA4の検討体制と技術領域、会合の進め方についてご紹介します。
こんにちは、井上です。
3GPPでの仕様検討の流れについてのざっくり解説記事 でも触れましたが、3GPPにおける実際の技術仕様検討はWorking Group(WG)単位で行われています。
基本的な手続きは3GPP共通プロセスとして定められていますが、そのプロセスを守りつつ、具体的な検討の進め方は各WGごとに異なっており、いきなりWG会合に参加しても提案やコメントはもとより議論を追いかけるのも大変です。
本記事では、3GPP SA4の検討体制と技術領域、会合の進め方について簡単にご紹介します。
3GPPのTSG SAは、移動体通信システム全体のサービス要件やアーキテクチャを検討するグループです。
その中で、SA4 WGは、主にマルチメディアに関わる技術仕様を担当しています。
検討対象は音声や映像といったメディアそのものに限らず、それらをどのように符号化し、パケットとして配信し、端末やアプリケーションで再生するかといった、エンドツーエンドのメディア処理全体に及びます。
具体的には、以下のような分野がSA4の主な検討対象です。
音声通話、ビデオ通話、メディア配信、XRやAIといった多様なアプリケーションを支えるメディア関連技術を標準化する役割を担っている点が、SA4の特徴と言えるでしょう。
上述の通り、検討内容が多岐にわたり、かつそれぞれの専門性が高いことから、SA4の特徴として4つのSub Working Group(SWG)を設定し、技術の詳細はSWG単位で議論する方式をとっています。
具体的には、以下の4つのSWGを設定しています。 当チームは主にRTC SWGで活動しています。

SA4の会合としては、すべてのSWGが集まる全体会合(本会合、アドホック会合)と、特定のSWGだけで行うSWG会合があります。
SA4の全体会合はFace-to-Face (F2F)もしくはe-meetingで行われますが、ここではF2F会合の流れをベースに説明したいと思います。
議論の場となるセッションは、SA4の全体会合であるSA4プレナリセッションと、各SWGごとの個別セッションで構成され、以下のような流れで進みます。複数のSWGが関係するテーマについては、関係するSWGが集まるジョイント会合も開催されます。
表にすると、以下のようなイメージとなります。

セッションの時間は限られているため、誰の意見もなく合意される寄書(事前調整がうまくいった寄書やエディトリアル修正の寄書など)は別ですが、他社からの意見が出た寄書についてはオフラインで調整して合意を目指すことになります。
オフラインとは、セッション外という意味です。寄書を出した人は、セッション間の休憩時間やセッション終了後の夜の時間などを使って意見を出した人をつかまえて議論し、寄書を修正してその人(の所属企業)が合意できるように調整します。
もちろん、こちらも自社の提案の本質を損なうような寄書修正はできません。どれだけ自社案の妥当性を補強する説得性のあるロジックを示せるか、相手案が内包する問題点を指摘できるか、そしてお互い何をどこまで譲歩できるかが鍵となります。
提案した寄書を合意させるためには、基本的には各SWG会合でのwash upに間に合うように調整を終わらせる必要がありますので、水曜日~木曜日が勝負所になります。
当チームで活動しているRTC SWGでは、本会合の間の期間(約3か月)に2~3回程度のSWG会合を設定し、検討を進めています。SWG会合はe-meetingで開催されることが多いです。
全体会合の期間だけでは関連各社の合意形成が難しい検討アイテムの議論を中心に扱うなど、SA4の全体会合で一定のアウトプットがでるようにするための会合であると考えています。
本記事では、3GPP SA4の検討体制と技術領域、会合の進め方について簡単にご紹介いたしました。
実際に3GPP会合に参加して提案活動を行う場合には、そのWGに1度参加して、検討の進め方やキーパーソンの把握から行うことをお勧めします。
本記事は,NTTネットワークサービスシステム研究所 ネットワーク基盤技術研究プロジェクト ノード処理基盤研究グループの RTC (Real-Time Commmunication) チームが執筆しています。 当チームでは,商用サービス開発とは独立した立場から,将来のRTCサービスを支える基盤技術の創出を目的としたコア研究として,RTC関連技術の研究開発および3GPPやCAMARA等における標準化活動に取り組んでいます。
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