サービス品質評価・管理技術

【研究成果】

研究成果1

IPTV品質評価技術(ITU-T勧告P.1201.1)

IPTVサービスをお客様(視聴者)に対して適切な品質で提供するためには、IPTVサービスの品質(QoE)を的確にとらえることのできる品質評価技術が必要です。

IPTVサービスの品質を監視するためには、オーディオビジュアル信号の高能率符号化による品質劣化、IPネットワーク伝送時の品質要因であるパケット損失などによる品質劣化、ユーザ端末内での受信データのバッファリングなどによる品質劣化を捉える必要があります。また、ユーザ端末に品質監視技術を組み込むためには、品質推定に要する端末への負荷に配慮し、計算量を抑えて品質を簡易推定できる技術が求められます。こうした中、NTTネットワーク基盤技術研究所では、その主観品質評価設備・ノウハウを最大限活用して構築した膨大な品質データベースに基づき、符号化、ネットワーク伝送、ユーザ端末における「品質パラメータ」をIPパケットのヘッダ情報のみから定量化し、それらに基づいてユーザ体感品質を推定する技術をITU-Tに標準化提案しました。性能評価コンテストの結果、NTTネットワーク基盤技術研究所及びHuaweiの品質推定精度が統計的に同等であったため、両社の技術を統合して最適化した品質評価技術を勧告草案としてITU-Tに提出し、勧告P.1201.1として採択されました。

図1 ITU-T勧告P.1201.1

図1 ITU-T勧告P.1201.1

図をクリックすると、拡大図が別ウィンドウで開きます。

研究成果2

テレビ電話サービスの総合品質評価モデル
(ITU-T勧告G.1070)

良好な品質の通信サービスを提供品するためには、サービス提供前に、お客様が実感する品質(ユーザ体感品質)に即した品質要求条件を明確にし、その条件を満たすように端末やネットワークを設計することが重要です。このような品質設計を簡便かつ効率的に行うために、品質を設計する際のパラメータからユーザ体感品質を推定できる総合品質評価モデルの確立が重要です。

NTTネットワーク基盤技術研究所では、IP電話サービスの総合品質評価モデルとして広く使われているITU-T勧告G.107 E-model(「R値」を算出するアルゴリズム)のテレビ電話サービス版の研究開発に取り組み、音声品質と映像品質のインタラクションや音声と映像の同期ずれの影響を評価可能な品質評価モデルの確立に成功しました。本技術は国際標準化機関である国際電気通信連合(ITU)において、勧告G.1070として採択されました。

下図に示す通り、国際標準となった総合品質評価モデルは、アプリケーション・ネットワーク・端末に関する品質設計パラメータとユーザ体感品質の関係を定式化した推定モデルで、品質設計パラメータから音声品質、映像品質を推定し、これらのインタラクションや音声・映像の同期(いわゆるリップシンク)を考慮して総合的なユーザ体感品質を推定します。

図2 ITU-T勧告G.1070の評価モデル

図2 ITU-T勧告G.1070の評価モデル

図をクリックすると、拡大図が別ウィンドウで開きます。

研究成果3

映像配信サービスの客観品質評価技術(ITU-T勧告J.247)

映像配信サービスを適切な品質で提供するためには、そのサービス品質(QoE)を的確にとらえることのできる品質評価技術が必要です。NTTネットワーク基盤技術研究所では、基準映像と劣化映像の画素情報を比較して品質を定量化するフルレファレンス型とよばれる客観品質評価技術を研究開発しました(図3)

この技術は国際標準化機関である国際電気通信連合(ITU)の映像品質専門家会合(VQEG)における大規模な国際技術コンテストで勝ち残り、勧告J.247として採択されました。

本技術は、IPネットワークを利用した映像配信サービスで用いられる多様な符号化方式・ビットレート条件による符号化劣化や、IPネットワーク特有の劣化であるパケット損失による劣化の生じた映像を評価することができます。本技術を適用すれば、例えば、従来人間による目視で確認していた「配信前映像の符号化品質監視」を自動化することが可能になり、適切な品質の映像配信サービスを効率的に提供することができます。

図3 ITU-T勧告J.247 フルレファレンス型客観品質評価技術

図3 ITU-T勧告J.247 フルレファレンス型客観品質評価技術

図をクリックすると、拡大図が別ウィンドウで開きます。