快適な通信サービスを経済的なネットワークで提供するためには、お客様が実感するサービス品質を定量的にする品質評価技術が重要です。当グループでは、音声や映像といった視聴覚メディアを使った通信サービスを対象として、お客様が感じる品質(ユーザ体感品質=QoE: Quality of Experience)を定量的に評価する方法とこれを用いた品質設計・品質管理の方法論を研究開発しています。
本研究のミッションは、これらメディア品質評価・設計・管理技術を用いてNTTグループのサービス品質の維持・向上に資することです。さらに、国際標準化活動を通じて、広く世界中の通信キャリア、通信機器ベンダに共通の考え方・尺度・基準を提供することも重要なミッションの一つです。
本技術に関する代表的な研究テーマは次の2つです。
【研究テーマ】
多様化する通信サービス/アプリケーションを快適に利用して頂くため、ユーザ体感品質(QoE)に基づいたサービス運用管理の実現が重要です。本研究テーマでは、モバイル通信の主要なサービスである、Web・音声通話・映像配信のサービス提供状態を、サービス提供中に取得可能なパラメータから把握可視なQoE推定技術の研究開発を進めています。この中で、映像配信サービスを対象としたQoE推定技術はITU-Tでの国際標準化活動を進めており、勧告暫定コード名P.NATSと呼ばれています。
インターネットのような通信品質が安定しないネットワーク上で、ユーザ満足度を下げることなく、映像配信サービスを提供するためには、①品質把握:視聴者がどのような品質でサービスを利用しているかを的確に把握する、②品質最適化:視聴者に応じた適切な配信方法を通じて、QoEを最適化することが必要です。本研究テーマでは、配信事業者が所有するコンテンツ情報とネットワーク事業者が所有するネットワーク情報を組み合わせ、視聴者毎にネットワーク混雑状況に応じた最適な配信制御を実現することにより、QoEの最適化を目指しています。QoE最適化に向けて品質関連情報をやり取りするAPIを「品質API」と呼んでいます。