[基礎数学セミナー] 「空間内のものの形を視る」開催のお知らせ

タイトル:空間内のものの形を視る
日時:2026/3/2
講演者:坪井 俊(東北大学知の創出センター 特任教授(東京大学名誉教授))
会場:ハイブリッド(オンライン / 武蔵野研究開発センタ)

空間内のものの形をどのように感じているかは、人それぞれだろうが、大雑把な形として、まるい、穴が開いている、というように、少しだけなめらかに変形しても、ほぼ同じと思うのではないだろうか。100年くらい前に、球面をなめらかに変形したものは、球体をなめらかに変形したものの境界となることが証明された。ドーナツの表面の曲面をトーラスと呼ぶが、「なめらかなトーラスを境界とする図形は何か」という問いの答えも同じ頃に得られている。少し専門的な言葉を使うと、それは結び目の管状近傍となるソリッドトーラスであるか、または結び目補空間である。
この結び目の管状近傍は視認性のある有界領域である。実際、なめらかに変形して結び目の小さな管状近傍にすれば、その境界の曲面のすべての点を、点に依存したある方向の無限遠から視ることができる。一方、非自明な結び目の補空間は、そのどのような変形も、その境界の曲面のある1点は、どのような方向からも無限遠から視ることができない、としか思えない。悔しいことに、これが証明できていないのだが、これを証明する試みの一端をお話ししたい。