超高精細色情報処理の研究

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多原色カメラで物の色と形を正確に再現

市販されているデジタルカメラで写真を撮影した際に、モニタ上に表示される色が本物の色と異なる、といった経験はないでしょうか?これは医療分野や美術品の記録(アーカイブ)と言った分野では非常に大きな問題となります。私たちは従来の三原色(赤、緑、青)を超える、四原色以上(マルチバンド)で被写体の色を記録し、正確に色を再現・分析する技術の開発を行っています。現在、市販のデジタルカメラと特殊なカラーフィルタを組み合わせた静止画用6バンドカメラと、多眼ステレオカメラとバンドパスフィルタを組み合わせたステレオ式マルチバンド動画カメラの開発を進めています。

(マルチバンド撮影とは)
従来の3バンド(RGB)カメラでは、被写体表面で反射された可視光波長域の光を赤・緑・青の3領域に分割し色信号として記録しています。この波長方向の分割数を4以上にして記録した画像をマルチバンド画像と呼びます。この方法は可視光波長領域のみではなく、紫外・赤外波長領域にも拡張可能です。赤外・紫外・可視光成分を組み合わせることで物体表面属性の分析精度の向上が期待できます。

将来どのように使われるのか

従来の3バンド(RGB)カメラでは、被写体表面で反射された可視光波長域の光を赤・緑・青の3領域に分割し色信号として記録しています。この波長方向の分割数を4以上にして記録した画像をマルチバンド画像と呼びます。この方法は可視光波長領域のみではなく、紫外・赤外波長領域にも拡張可能です。赤外・紫外・可視光成分を組み合わせることで物体表面属性の分析精度の向上が期待できます。

2ショット型6バンド撮影システム(静止画用システム)

市販のデジタルカメラのレンズの前に特殊なカラーフィルタを取り付け、フィルター無し(通常のRGB撮影)とフィルター有りの2枚の3バンド画像を撮影し、これらから6バンド画像を生成します。この方法の利点は、高価で特殊なカメラ機材が不要である点、大判カメラと組み合わせることで数億画素の高精細画像の撮影も可能となる点です。モニタ上に再現したマクベス色票24色の平均色差は1.19(3バンドの場合3.21)と大幅に向上し、またAdobe RGB 以上の広い範囲の色の記録が可能であることも実験的に確認しました。現在このシステムを用いて、貴重文化財の超高精細分光撮影によるデジタルアーカイブなどの多くの実証実験を行っています。

1ショット型ステレオ式マルチバンド撮影システム(動画撮影も可能)

上述の2ショット型撮影システムでは動いている被写体や動画の記録ができません。そこで、ステレオカメラの技術とマルチバンドカメラの技術を組み合わせた、1ショット型ステレオ式マルチバンド撮影システムを提案しています。1ショットで撮影できるため、動いている被写体や動画へ適用できるほか、3次元形状の推定も可能です。本システムでは色特性の異なる多視点の撮影画像から仮想的に1視点からのマルチバンド画像を生成します。現在、この多視点画像から1視点画像に高精度に変換する技術の研究と、その精度向上・高速化に関する技術開発に取り組んでいます。

蛍光成分の記録と再現

私たちの生活で身近な物体の多くは、その表面において、光の反射に加え蛍光という現象が生じています。異なる光学特性を持つ反射光と蛍光を同時に画像として記録した後、それぞれの光成分を分離し、正確に色を再現する研究に取り組んでます。蛍光は物体の質感に、強く影響しています。

前述の9眼ステレオ式マルチバンド撮影装置と8バンド照明装置を使います。9眼の中央には画像間の位置合わせ用として RGBカメラを設置しています。光源側のフィルタのみを変化させることで、反射と蛍光の特性を同時に取得できます。従来は撮影側は単眼カメラで、カメラに取り付けるフィルタも変化させる必要がありましたが、本システムにより作業を大幅に簡略化することができます。

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