これまでの光アクセス装置はサービス毎に設計され、アクセス方式や開発ベンダ毎にも詳細な仕様が異なるため、新たなサービスの提供のためには、OLT(Optical Line Terminal)等の伝送装置の開発だけではなく、オペレータの運用システムの大規模な開発が必要となりました。様々なサービスの効率的な収容に向けては、光アクセス装置の機能の一部を入れ替え可能なソフトウェアで実現し、統一されたAPI (Application Programming Interface)で制御を行うアーキテクチャをとる仮想化技術が注目されています。 オープンソースソフトウェア (OSS) の開発コミュニティであるONF(Open Networking Foundation)では、多様な光アクセスシステムの仮想化を実現するプラットフォームであるSEBA(SDN Enabled Broadband Access)の開発を進めており、SEBAは既に一部の海外キャリアで商用導入されています。主要な光アクセス方式として、ITU-T標準とIEEE標準が世界的に用いられていますが、SEBAは従来の実装ではITU-T標準のみにしか対応していませんでした。NTTアクセスサービスシステム研究所では、SEBAの適用範囲を広げるために、IEEE標準向けの仮想化技術を新たに開発し、OSSとして公開しました。 具体的には、図1に示すSEBAの構成の内、大きく2か所に対して機能開発の貢献を行いました。1つ目は、認証のワークフローを担うNEM (Network Edge Mediator)に対してです。IEEE標準に従った認証情報を検知し、下位のエレメントに対してOLTを有効化する設定自動化機能を開発しました。2つ目は、SEBAの核となる抽象化機能を担うVOLTHA (Virtual OLT Hardware Abstraction) に対して機能追加を行いました。IEEE標準に従った回線設定形式を新たに定義し、それらをIEEE仕様OLT (Optical Line Terminal) に設定する機能を開発しました。
光アクセスシステムの仮想化技術
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