2019/12/18
2019年11月14日、15日の2日間、NTT武蔵野研究開発センタで「NTT R&Dフォーラム2019」が開催され、SICでは、「散在データ仮想統合技術:iChie」、「ひかりディープラーニング®推論基盤技術」、「道路ポリゴンを用いた時空間データ高速検索技術」など様々な技術・ソリューションを展示しました。いずれもIoT/AI領域のイノベーションや共創を加速する基盤となりうるもので、ブースを訪れた企業関係者や技術者からの熱い反応に大きな手ごたえを感じた2日間となりました。
「散在データ仮想統合技術:iChie」は、複数の企業が個人情報や企業秘密などに配慮しながら相互にデータを活用しあうための技術です。展示ブースでは実際の状況を想定し、A社の顧客情報とB社の売上情報を、相互の情報そのものの秘匿性は保ちながら組み合わせ、データの分析結果だけを取り出す様子がデモンストレーションされました。展示を見学した企業のマーケティング担当者などからは、製造業のサプライチェーン分析や医療機関を横断するレセプト解析などへの活用が指摘され、実用化への高い期待をうかがわせました。
「ひかりディープラーニング®推論基盤技術」展示ブースでは、ディープラーニングを用いて複数の監視カメラからの映像を解析し、挙動が怪しい人(商品を見ずにカメラばかり気にしている人等)を検知するデモンストレーションが行われました。複数ストリームの一括処理による動作の大幅な効率化や、1つのサーバでより多くの監視カメラを収容、少ない計算リソースで解析可能にしたことで、既存ソリューションよりも大幅な効率化、経済性の向上を実現しました。企業からの注目も高く、展示期間中に、実案件への引き合いもありました。
「道路ポリゴンを用いた時空間データ高速検索技術」展示ブースでは、リアルタイムナビゲーションのデモが行われました。走行中のフロントガラスに見立てた三面ディスプレイには、故障車や歩行者、コンビニの位置や駐車場の空き状況などの情報が、AR(Augmented Reality)で表示されます。既存技術に比べ、道路全体や道路の車線ごとの形状を表す多角形(ポリゴン)の頂点数を削減、検索等の処理を高速化したことで、車線単位での混雑状況把握や、周辺エリア情報のARナビゲーションがリアルタイムで可能になりました。
いずれの展示も、技術のデモンストレーションにとどまらず、社会実装への可能性を探ることを目的としていました。来場いただいた皆様の反応や、いただいたご質問などから、ソリューション実用化への可能性を感じました。また、逆に実用化への課題が浮き彫りになった部分もあり、今後の研究開発の方向性を考える上で、大変貴重な機会となりました。