更新日:2023/09/29
これまでの地球システムモデル(ESM: Earth System Model)では考慮されていなかった、海洋微生物と物理現象との相互作用を含むモデルを構築しました。これにより、微生物多様性や数km規模の乱流渦を考慮した高解像度な海洋シミュレーションを実行することで、海洋微生物の繁殖予測を行います。
海洋微生物の繁殖・生育には、中深層から栄養塩を供給・撹拌する数km規模の乱流渦が無視できないと言われています。しかし、現在のIPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change)やCORDEX(The Coordinated Regional Downscaling Experiment)などで採用されているESMの空間解像度は最小でも10km程度であり、解像度が不十分な状況が課題となっています。
また地球全体の炭素固定量の約4割を担う植物プランクトンは、現在のEMSでは定数として簡易的に表現されています。このため、正確に再現するためにはプランクトン種別や遺伝的進化を考慮したシミュレーションが必要となっています。
NTT宇宙環境エネルギー研究所 レジリエント環境適応研究プロジェクト