概要
NTTでは、地球規模の社会課題の解決に向け、地球環境への影響を±ゼロにする環境負荷ゼロ技術と、地球環境変化による影響を受容する環境適応技術に取り組んでいます。
「超広域大気海洋観測技術」は、常時・リアルタイムに直接観測が困難であった地球のあらゆる場所に、IoT センサを配置し、省電力かつ低コストで大気や海洋を直接観測する技術です。
本技術確立に向けて、国や企業の研究機関・大学との共同実験や共同研究、メーカ系企業とのアライアンスを通じ、技術の需要性やユースケースを検証し、NTTグループの宇宙ビジネスの開拓へつなげていきます。
背景・従来課題
・「衛星MIMO技術を活用した920MHz帯衛星IoTプラットフォームの軌道上実証」をベースとした「超広域IoTセンシング技術」により、超広域な大気海洋観測技術の確立をめざします。
・まず、「台風」を観測対象の1stターゲットとし、台風の予測に有効な観測データを直接収集する取り組みを始めています。現在、衛星からのリモート観測が中心であり、海域での観測データがほとんど無く、予測精度向上が難しいという課題があります。そこで、水蒸気量、気温・気圧、風向風速、海水温など、海域で大気と海洋を広範囲に直接的に観測し、リアルタイムに送信して、データを活用できるような観測技術を確立します。
本技術のアドバンテージ
- 高波・暴風など過酷な環境でも安定的に観測できること
- 衛星通信にも応用が可能なLPWAを活用し、地上通信網が整備されていない海域で、広域かつ省電力なIoTセンシングを実現すること(LPWA(Low Power, Wide Area):IoT(Internet of Things)用途に適した、低消費電力の広域無線通信技術)
- 大気海洋自律観測機、多地点観測ブイ、そして、IoTセンサの観測機器を活用することで、従来よりも超広域な海洋ビッグデータを収集する情報収集プラットフォームを構築すること
利用シーン
- 台風・線状降水帯などの極端気象による被害を最小限にするための予測精度向上に活用します。
解説図表
担当部署
宇宙環境エネルギー研究所 レジリエント環境適応研究プロジェクト