更新日:2025/09/29

8K非圧縮対応SMPTE ST 2110低遅延伝送ソフトウェア基盤技術NTT未来ねっと研究所

目次

概要

クラウド番組制作を可能にするため、CG合成処理等を実行するGPU上の非圧縮映像データを低遅延にソフトウェア伝送する技術を確立しました。具体的には、低遅延化が難しいソフトウェアでの映像伝送処理においても、安定性を保ちながらバッファでの待ち時間を削減する手法を提案しました。本技術により、クラウド番組制作のための非圧縮映像伝送遅延の要件として設定した送受信処理時間24msを下回る17.1msを達成しました。

背景・従来課題

放送業界の新しいライブ中継番組制作フローとして、中継現場から放送局に番組素材を伝送し、放送局から遠隔で制作を行うリモートプロダクションが注目されています。さらに、ライブ番組制作の将来像として、放送設備の機能をクラウド上に集約することで設備コストの削減が期待できるクラウド番組制作が2020年代後半に実用化されると見込まれています。NTTでは、大容量・低遅延の広域接続が求められる遠隔でのライブ番組制作をIOWN APNの重要なアプリケーションとして位置付けています。

本技術のアドバンテージ

  • ソフトウェア処理: 汎用サーバ上で動作するソフトウェア処理により、専用ハードウェアを導入することなくSMPTE ST 2110規格の8K非圧縮映像伝送が可能です。
  • GPU連携: 映像処理を実行するGPU上の映像データを、CPUを介さずに処理可能な技術を活用することで、GPUアプリケーションとの低遅延な連携が可能です。
  • 低遅延バッファ制御: 映像伝送のクロックに同期し、バッファ状態に応じたバッファ制御を導入したことにより、安定性を保ちながらバッファでの待ち時間を削減しました。

利用シーン

  • 映像制作
  • リモートプロダクション
  • クラウド番組制作

解説図表

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技術解説

遠隔での番組制作のためには、大容量・低遅延の非圧縮映像伝送が必要となります。現在の非圧縮映像伝送では、厳密なクロック同期が可能な専用ハードウェアを用いることで低遅延伝送を実現するハードウェア実装が主流となっていますが、クラウド番組制作ではクラウド上に機能配置可能なソフトウェア実装が必要になります。一方で、ソフトウェア処理では正確なタイミング制御ができないため、ハードウェア処理に比べ遅延が大きくなりやすいという課題があります。今回、最大200km離れたデータセンタとの往復遅延を50msに抑えることを目標としました。200kmのファイバ伝搬遅延は1msなので、片道の送受信処理遅延を24msに抑えることが求められます。
今回、汎用サーバ上で動作する非圧縮映像伝送をソフトウェア実装し、専用ハードウェアを導入することなく大容量の非圧縮SMPTE ST 2110ストリームを伝送可能としました。本実装では、映像伝送のクロックに同期した低遅延バッファ制御を導入することで、処理の安定性を保ちながら送受信処理遅延を17.1msまで低減し、目標値を達成しています。また、映像処理を実行するGPU上の映像データを、CPUを介さずに処理可能とする技術を活用することで、GPUアプリケーションとの低遅延な連携を可能としました。

用語解説

SMPTE ST 2110規格
SMPTE(Society of Motion Picture and Television Engineers)が定める放送番組素材伝送用の映像伝送規格です。映像、音声、補助データを別々のストリームで伝送するという特徴があります。

担当部署

未来ねっと研究所 フロンティアコミュニケーション研究部

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