更新日:2023/11/30

    浅海域の水平距離300mで伝送速度1Mbit/sの無線水中ドローンを実現海中音響通信技術NTT未来ねっと研究所

    概要

    海中の濁りの影響を受けない音響通信において、劣悪な波形歪みを補償する時空間等化技術により、従来より10倍以上高速な1Mbit/s伝送を水深30m程度の浅海域エリアの水平距離300m地点で実現しました。これにより、アナログテレビの画質の映像伝送が可能となり、海中映像をリアルタイムに確認しながらの水中ドローン無線制御を実現しました。

    背景・従来課題

    近年、海底資源開発、港湾工事、そして漁業などで水中無人機による遠隔操作や監視の需要が高まっています。海中では電波は減衰しやすく通信での利用が困難なため、可視光や音響が利用されています。可視光通信は周波数帯域幅が広く高速通信が可能ですが、濁りの影響や太陽光の干渉によって通信距離や速度が低下する課題があります。音響通信は濁りなどの影響を受けませんが、周波数幅が狭く、実用化されている海中音響装置の通信速度は数10kbit/s程度となっています。

    本技術のアドバンテージ

    • 陸上移動通信と比較し20万倍低速となる遅延波の影響を除去する時空間等化技術
    • テッポウエビなどが発する海中のインパルス性雑音の影響を抑圧する環境雑音耐性向上技術
    • 海面の揺らぎによる海面反射波のドップラーシフトの影響を軽減する直接波検出性能向上技術

    利用シーン

    • 海底資源開発における水中無人機での遠隔設備点検
    • 港湾工事における水中無人重機の遠隔操作
    • 漁業における水中無人機での魚群探知や網の点検

    解説図表

    担当部署

    NTT未来ねっと研究所 波動伝搬研究部

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