更新日:2024/09/05

1Tbit/s級超高速光ネットワーク構築へ向けた先端技術NTT未来ねっと研究所

目次

概要

クラウド、5G、IoTを支える光ネットワークの長距離大容量化に向けて、デジタルコヒーレント光伝送方式による超高速光伝送技術および光電子デバイス技術の研究開発を進めています。これまでに高速光切替機能を備えた100Gbit/s、長距離向け400Gbit/s、データセンタ近距離向け600Gbit/s、そして容量を拡大した1.2Tbit/sのリアルタイム伝送を実証してきました。引き続き、伝送容量・伝送距離・周波数占有帯域をアプリケーションに応じて柔軟に構成できる適応変復調技術の研究開発を進めています。さらに、 IOWN構想を支える次世代の超大容量ネットワークの実現に向けて、1Tbit/s超級の光伝送をより低電力で実現する技術を研究開発しています。

背景・従来課題

日々進化するクラウドやモバイルサービスは大容量のネットワークを前提に考えられています。これまでに、400Gbit/s、1.2Tbit/sなどデジタルコヒーレント伝送用キーデバイスを実用化し、ネットワークの大容量化を推進してきました。今後はさらなる大容量光伝送方式を低電力で高密度化可能な技術の研究が重要となります。

本技術のアドバンテージ

  • 【ネットワーク】波長ごとに経路設定を行う波長パスネットワーク上で、変調方式・シンボルレートを適切に選択することで、波長あたりの伝送容量・伝送距離・周波数占有帯域をアプリケーションに合わせて柔軟に設定できる適応変復調伝送技術。コア、メトロ、アクセス、データセンタ(DCI: Data Center Interconnect)ネットワークまでの幅広いアプリケーションに対応できる。
  • 【デバイス】①変調方式・シンボルレートを柔軟に構成できる機能を備え、波長あたり最大1.2Tbit/s伝送する適応変復調DSP(Digital Signal Processor、写真参照)。②140Gbaud級超高速レートで動作し、多値変調を実現できる、超小型(写真参照)、低駆動電圧を実現するInP光変調モジュール。

利用シーン

  • 100Gbit/s~1.2Tbit/sフォトニックトランスポートシステム
  • 次世代の1Tbit/s超フォトニックトランスポートシステム

解説図表

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技術解説

◆伝送技術
波長ごとに経路設定を行う波長パスネットワーク上で高シンボルレート・高多値度の1Tbit/s超級高速伝送を実現するためには、伝送特性および柔軟性を向上させる適応変復調技術が必要です。NTT研究所では、偏波・振幅・位相を柔軟に制御する多値変調技術、細かい情報量の設定を可能にする符号化技術、およびそれらを低電力で実現するデジタルコヒーレント信号処理技術を研究し、大規模集積回路を開発しました。これにより、適応変復調伝送を実現し、大容量長距離伝送と光周波数利用効率向上を実現します。
◆デバイス技術
デジタルコヒーレント信号処理技術を用いた1Tbit/s超級適応変復調伝送を実現するための各種デバイスを開発しています。
・適応変復調DSP:デジタルコヒーレント信号処理を行うLSIです。最大容量1.2Tbit/s、最大140Gbuadシンボルレート、最大64QAMを備えます。
・超低消費電力DSP:デジタルコヒーレント信号処理を行うLSIです。最大容量400Gbit/sを10W未満の消費電力で実現します。最大容量800Gbit/s対応版を開発中です。
・InP 光変調モジュール:140Gbaud級高速伝送に対応したコヒーレント伝送向け多値変調のキーデバイスです。変調器・ドライバが集積されたモジュールで、小型化(10mm×30mm)を実現しました。また、2.5V以下の低電圧駆動(従来は3.5V以下)が可能で、送信器の小型化・低消費電力化に寄与します。
これらのデバイスの採用により、伝送速度の高速化を図りつつ伝送装置の小型化・低消費電力化の実現が可能となります。

担当部署

未来ねっと研究所 トランスポートイノベーション研究部

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