更新日:2024/09/12
本特集では、NTTコミュニケーション科学基礎研究所が取り組む「人を深く理解し極め...
本特集では、NTTコミュニケーション科学基礎研究所が取り組む「人を深く理解し極める」人間科学の研究および、「人の能力に迫り凌駕する」情報科学の研究などについて、最近の取り組みの一部を紹介する。

生成AI時代におけるコミュニケーション科学研究の新展開――人間と情報の本質探求と人に寄り添う技術の協創に向けて
NTTコミュニケーション科学基礎研究所(CS研)では、人と人および、人とコンピュータシステムとの間の「こころまで伝わるコミュニケーション」の実現に向けて、情報と人間の本質に迫る基礎理論の構築と、社会に変革をもたらす革新技術の創出に取り組んでいます。本稿では、昨今急激に進歩しつつある生成AI(人工知能)の動向を踏まえ、人とAIの共存に向けたCS研における最新の研究の取り組みについてその一部を紹介します。

圧縮計算でめざす高信頼インフラ―─決定グラフを用いたネットワーク解析問題の高速な解法
現代社会は通信網や道路網などの多くのネットワークインフラによって支えられています。その性能解析は、高性能・高信頼なネットワークの設計などのために重要ですが、多くの場合ネットワークを構成する道路や光ファイバなどの「組合せ」を考える必要があります。すると、計算時間が膨大となり、現実的な時間内での精緻な解析が難しくなります。本稿では、膨大な数の組合せを圧縮して表現する決定グラフを用いたアルゴリズムによる、困難な解析問題の高速な解法について解説します。

人の知覚に寄り添った自然で快適な映像表示──人間の視覚情報処理モデルに基づく表示映像の最適化
情報表示技術や表示デバイスの発展に伴い、近い将来、現実空間のあらゆる場所が情報表示に使われるようになるかもしれません。しかし、プロジェクタや透過型ディスプレイを用いた新しい表示技術では、周囲の明るさや背景の模様によって表示画像の見え方が大きく変化するため、映画館のように常に理想的な表示はできません。本稿では、人間の視覚情報処理をモデル化することで、こうした将来の情報表示において、使用場面によらず自然で快適な映像表示を実現するアプローチを紹介します。

たくさんのデータの中から素早く知識を発見―─計算の枝刈りによる高速化手法を活用した厳密性を担保した大規模データ解析
現在、AI(人工知能)を活用した効果的なデータ解析に対する関心が高まっています。しかし膨大なデータの解析には多大な計算コストが必要です。一般的に計算コストを低減するために近似的な処理が行われますが、近似処理では正確な解析結果を得ることが難しいという問題があります。本稿では計算の枝刈りを行うことにより高速性と厳密性を両立させたデータ解析手法の代表的な例を紹介します。

ヒトの動きが"ばらつく"ことの本質
理想の投手は「投げたいと思う位置」に「何回でも」投げられますが、それを可能としているのは体を操る脳の情報処理です。本稿では、「脳が筋を動かすタイミングの乱れ」が運動をばらつかせる原因であることを示した研究について紹介します。この研究で新たに開発した手法により、利き手は非利き手に比べて繰り返し運動のばらつきが少ないことや、若年層では成長とともに運動ばらつきが減少し、高齢者では、運動ばらつきが増加することが明らかになりました。