更新日:2021/02/19
光アクセスが提供する通信サービスはこれまで、トリプルプレイ(電話+インターネット+映像)に始まり、モバイルやIoT(Internet of Things)トラフィック収容として発展してきました。これらは主に人の知覚を満たすためのトラフィックを扱ってきたといえます。一方、伝送速度の向上がもたらすビット単価の低下が今後も続くと期待されていることから、さらに多くの情報を瞬時にかつ安価に転送することが可能になると考えられます。これに伴い、クラウドアクセス、AR(Augmented Reality)/VR(Virtual Reality)、自動運転、e-sportsといった、人の知覚を超える膨大な情報量や反応速度が求められるシーンでの通信応用が広がり、さらに安全でナチュラルなサービスを享受できる社会が期待されます。したがって、それを支える光アクセスシステムには、さらなる低遅延と多様化する通信サービスの効率的収容が求められます。
一方で、労働力人口は減少し続け2060年には現在から4割減少すると指摘されています(1)。特にアクセスネットワークの装置は広域に分散配置されるため、保守者の移動を含めた稼働低減と効率化が大きな課題になります。現在のコロナ禍の影響も考慮すると、これまで以上に人の移動と保守稼働を極力抑える光アクセスシステムの実現も重要になります。
現在の光アクセスシステムは、例えば法人向け、モバイル向け、マス向けと、個別の光アクセスネットワークを有し、それぞれの提供時期やエリア展開に合わせた伝送速度で効率的にサービス展開、提供できる専用装置を用いてきました。しかし今後は、これまでのような大容量化だけではなく、低遅延といった多機能化や、柔軟性を向上させながら運用負荷を低減できる効率的な運用への技術開発が進められると考えます。
そこで今後は、伝送・転送機能と付加機能(サービス)を分離し、できる限り伝送・転送機能を汎用化、共通化する光アクセスシステムをめざすことが重要になります(図1)。伝送・転送機能と付加機能(サービス)を分離し、サービスに共通した最低限の伝送・転送機能によるスモールスタートと、さまざまな品質、要件に対して付加機能を選択・付与・削除できるようにすることで迅速なカスタマイズが可能になります。また、装置の種別を減らすことで運用作業が共通化され、保守を簡易かつ安全に行うことが可能になります。伝送・転送機能をシンプルに構成することができれば、接続される光アクセスネットワークのインフラ部分(例えば光ファイバ設備)を共用することも可能となります。NTTアクセスサービスシステム研究所(AS研)ではこのような高い柔軟性と低い運用負荷を実現し、インフラを共用できる光アクセスシステムの実現をめざしています。…