更新日:2021/02/19

    次世代光線路技術の研究開発の取り組み片山 和典(かたやま かずのり)
    NTTアクセスサービスシステム研究所
    プロジェクトマネージャ

    NTT技術ジャーナル2021年2月号:特集「つくばフォーラム2020 ONLINE ワークショップ」より

    光アクセス網の経済化・高度化に向けた取り組み

    NTTアクセスサービスシステム研究所では、多様化するネットワークサービスを支える光アクセス網の経済化・高度化による情報通信事業の持続的発展に向け、光線路設備全般についてコア研究から実用化開発まで一気通貫で取り組んでいます。光アクセス網を構成する主要な技術群を図1に示します。光アクセス網は所内、所外、構内における光ファイバ・ケーブル、光接続部品、架空構造物など多くの物品・技術から構成されており、光アクセス網の高機能化や施工の簡易化、運用性の向上などの観点で多様な研究開発を行い、実設備として導入されています。ここでは光線路設備技術における最近の研究開発成果の一部を紹介します。
    光ファイバ・ケーブルに関しては、限られたスペースに多数の光ファイバを配置するために、光ケーブルにおける光ファイバ実装密度の向上が進められています。NTTでは間欠接着型テープ心線とスロットレス光ケーブル構造を提案、開発し、光ケーブルの極限的な高密度化を実現しました。同技術を最適化することで、従来の1000心光ケーブルと同一外径で2000心の光ファイバを実装した世界最高密度の光ケーブルを実用化しています。さらに細径高密度光ケーブルの適用拡大として、鳥獣害対策用のHS光ケーブルも実用化しています。スロットレス構造の適用とケーブル構造の変更により、従来と比べて細径・軽量化と施工性の向上を実現しました。今後、細径高密度光ケーブル構造は光ネットワークにおける光ケーブルの主流となると考えられます。
    また所内・構内光配線では、近年のデータセンタ等における光ファイバ接続需要の増加により、光ケーブルの輻輳による空調効率の低下が課題となっています。特に二重床下配線では、床下空間の配線状況が不明であるケースが多く、輻輳が生じやすくなっています。そこでNTTではケーブル種別や敷設条数などからケーブル積み上げ高を推定する方法を考案し、空調効率を向上し消費電力を低減する新たな所内配線技術を確立しました。
    次に架空構造物の点検・補修技術の取り組みについて述べます。取り組みの概要を図2に示します。架空構造物を支える電柱や支線等の構造物における安全性評価では、支線・ケーブル等で連なる複数の電柱を1つの“系”ととらえた不平衡荷重を考慮する必要があることが、近年の検討で明らかになっています。しかし、図2左に示すように、従来行われている電柱等の単体の点検、更改では不平衡状態に対する根本的な対策にはなりません。そこでNTTでは、図2中央に示す架空構造物総合検証設備を構築し、架空構造物の“系”としての検証を行っています。実環境を模した検証系で不平衡荷重を引き起こす真因を解明し、図2右のように、最適な対策を考案・実施することで、“系”全体の長期安全利用を実現できます。また本取り組みは、昨今の激甚化する自然災害への対策としても非常に有効です。
    以上、光アクセス網の経済化・高度化を実現する光線路設備の最近の研究開発成果について説明しました。情報通信事業の持続的発展を支えるべく、NTTアクセスサービスシステム研究所では安心・安全な光線路技術を継続して創出していきます。…

    図1 光アクセス網の構成技術と最近の研究開発成果
    図1 光アクセス網の構成技術と最近の研究開発成果

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