更新日:2021/02/19

    アフターコロナ社会におけるNTTグループの取り組み澤田 純(さわだ じゅん)
    NTT代表取締役社長

    NTT技術ジャーナル2021年2月号:特集「つくばフォーラム2020 ONLINE 基調講演」より

    私と筑波研究開発センタ

    最初に、筑波研究開発センタへの私自身の思い入れについてお話しします。私は昭和53年(1978年)に当時の電電公社にエンジニアとして入社し、線路部門(現在のアクセス部門)に配属されました。最初の配属先では、筑波研究開発センタの隣のエリアである、現在の常総市エリアによく足を運んでいました。3年目から技術局(当時)に配属され、構造物担当になり、当時の建設技術センタ、現アクセスサービスシステム研究所で建設技術の研究開発を推進していました。研究所の土質別実験棟には、当時、最大時速60キロで20トン荷重のトレーラーを走らせることが可能な設備があり、道路荷重をかけてマンホールや管路・ケーブルの挙動等を測定する実験を行っていました。すでにその研究は終わっていましたが、最後にそのトレーラーを走らせたのは私です。また、構造物担当では、災害復旧のために関係者の皆様がご苦労されているのを肌身で感じる経験もしました。
    私の手元に残っているこの写真は、当時、布設時にトラブルが発生していた凍結防止用のPEパイプの実験に関するもので、透明のPEパイプを管路に見立てて陸上に引いているところを写したものです(写真)。ケーブル心線とPEパイプの挙動や、引張り強度・本数等からどのような歪みが出るか等の相関を取る実験を行っていました。このような地道な実験の積み上げがあるからこそ、気温がマイナス数十度からプラス数十度に至る厳しい自然環境の中で、私たちの電気通信設備は安定的に挙動することができているのだと理解しています。後半でIOWN(Innovative Optical and Wireless Network)について述べますが、きれいに見える技術も地道な研究の積み上げがないと世の中で受け入れられるものにはならないと感じています。

    世界の新型コロナウイルス感染状況

    新型コロナウイルスの感染拡大がまた進みつつあります。人々がソーシャルディスタンスを確保するようになり、経済も少し戻りつつある気配はありましたが、感染者数の伸びが再び大きくなってきています。新型コロナウイルス感染症は、日本では指定感染症に分類されているため、検査で陽性判定が出ると隔離されることになり、医療にかかる負担も大きくなります。また、発症後1週間くらいまでが一番周囲に感染しやすいという分析結果があるそうですが、では症状が出ない方からは感染しないのかというと、そう断言できないのが現実のようです。日本の新規感染者数は海外と比べると2桁ほど低いです。このファクターXが何かは明確には分かっていませんが、解明に向けた研究がより進むと、ワクチンや治療法以外に感染症というものを変えていける要素を見出せるかもしれません。NTTグループがこの研究をしているわけではありませんが、一般的な話として、地道な研究で社会を変えていく努力が必要だと感じています。…

    関連するコンテンツ