更新日:2021/02/05
※記事本文中の研究所名が、執筆・取材時の旧研究所名の場合がございます。
西條 涼平(さいじょう りょうへい)†1†2/ 佐藤 妙(さとう たえ)†1/ 永徳 真一郎(えいとく しんいちろう)†1†2/ 渡辺 昌洋(わたなべ まさひろ)†1
NTTサービスエボリューション研究所†1/ NTTデジタルツインコンピューティング研究センタ†2
近年、スマートグラスなど日常的に身に着けて利用する情報デバイスの研究開発がさかんに行われています。これらの情報デバイスを通してタイムリーに情報を表示するシステム(情報表示システム)から、情報を受け取ることでユーザはさまざまな恩恵を得ることができます。例えば、運動不足のユーザがエレベーターと階段がある場所にやってきたタイミングで、「階段を使いましょう」などの割り込み情報が情報デバイスに表示されます。それをユーザがすぐに閲覧、実行すれば、日々の行動習慣を改善することができると考えられます(図1)。しかし、このような情報は、適切なタイミングが過ぎた後(例えば、エレベーターに乗った後)でユーザが閲覧しても効果がありません。そのため、情報が表示されたタイミングでユーザが情報を確実に閲覧すること (閲覧の確実性)が重要です。その一方で、確実な閲覧のために強制的に情報を見せるような表示がされると、ユーザには実施していた活動が妨げられたという感覚(妨害感)が生じ、情報表示システムの継続的な利用をやめてしまう可能性があります。
行動習慣の改善のようなシーンでは、ユーザが自らを理想的な状態に改善するための支援ツールとして、情報表示システムが活用できます。そのためには、情報表示システムは、継続的かつ効果的にユーザに情報を表示し、日々の行動改善を支援できる必要があります。そこで、私たちは、情報表示システムにより割り込み情報を表示した際の妨害感が低く、かつ、閲覧の確実性が高い情報表示方法の実現をめざして研究を進めています(1)。
これまで、割り込み情報の表示方法に関する研究は数多く行われています。例えば、情報閲覧を促す通知をユーザが無視すると、より閲覧を強制する方向に表示方法を変えていき、最終的には作業中の画面に重畳させて表示する方法があります(2)。この方法では、閲覧の確実性は向上しますが、妨害感も増大してしまう可能性があります。また、情報表示による活動の妨害を少なくする手法として、PCの操作履歴から活動に対するユーザの割り込み拒否度を推定し、拒否度が低いタイミングで割り込み情報を表示する方法があります(3)。この方法では、作業の妨害を避けることができますが、情報をタイムリーにユーザに表示することができません。
このように従来の方法では、割り込み情報を表示した際の妨害感の低減と閲覧の確実性の向上の両立が難しいといえます。また、従来研究では、ユーザがもともと行っている作業をどの程度妨げたかを評価していますが、割り込み情報表示の際にユーザが感じる妨害感は調べられていません。もともと行っていた作業を妨げなくても、妨害感は大きい可能性があり、情報表示システムの継続的な利用を阻害する可能性があります。そのため、妨害感についても検討が必要です。…