更新日:2021/02/05
※記事本文中の研究所名が、執筆・取材時の旧研究所名の場合がございます。
近藤 重邦†1(こんどう しげくに)/ 嵯峨田 淳†1(さがた あつし)/ 南 憲一†1(みなみ けんいち)/ 阿久津 明人†2(あくつ あきひと)
NTTサービスエボリューション研究所†1/ NTTサービスエボリューション研究所 所長†2
IOWN(Innovative Optical and Wireless Network)構想(1)による現実空間とサイバー空間の融合において、より精緻なシミュレーションによる未来の予測が可能となり、人の活動の幅を広げていくことができるようになると予想されます。ICTリテラシーによらず、私たちの生活を根底から変える現実空間とサイバー空間をつなぐ新たな「環境」で誰もが未来を予測し先取りの恩恵を受けるために、人への自然な情報提示と働きかけで人と環境はよりナチュラルに融合すること、すなわちナチュラルにつなぐサイバーフィジカルインタラクションが不可欠だと私たちは考えています。
本特集では、現実空間とサイバー空間の境界に位置するサイバーフィジカルインタラクションに関する最新の技術動向について紹介します。
現実空間とサイバー空間を融合させる取り組みは、すでに数多くの領域で実用化が進んでおり、さまざまなコンテンツが生み出されています。例えば、ゲーム領域においては、登場したキャラクターがスマートフォンの画面内で目の前の景色と重畳されて表示されることで、あたかもキャラクターが実世界に実在するかのような感覚が得られるものや、ゲームの世界に没入することができるタイトルが多く提供されています。また、スポーツ領域では、オンラインでの自転車レースの開催も実施されています。さらに将来へ向けて、人がバーチャル世界に飛び込める(フルダイブ)ということだけでなく、サイバー空間を通じて、現実空間へのインタラクション、例えば、その場にいない人どうしでリアリティのある場の共有やその場にいない人へのリアルな支援作業など、人知を増幅し人の能力を最大限に活かすことになります。
また、これからの現実空間とサイバー空間が密に連携する世界においては、これまで以上にユーザインタフェースが重要な役割を担うことになると考えています。情報提示や入力を、人の活動を妨げず人にとって無理のないかたちで実施可能にする技術や、触覚等の活用による新しいインタラクション技術、人の運動機能を最大限に引き出す技術など、これからの将来に向けて、人への自然な情報提示と働きかけで人と環境がよりナチュラルに融合すること、すなわちナチュラルにつなぐサイバーフィジカルインタラクションが求められています。サイバーフィジカルインタラクションとは、効率・品質・コストを尺度とする「客観的情報」のやり取りに加え、「主観的情報」を含めた環世界間を評価尺度「Well-being」でつなぎ(伝わる、支えるなど)、それぞれの環世界を拡張・発展させる機能です。その機能の中核技術の1つとして、知覚、認知制御技術があります。
NTT研究所では、従来から進めてきた知覚、認知に関する研究を発展させ、サイバーとリアルの身体をシームレスにつなぐ身体知によるサイバネティクス分野の研究開発にも注力していきます。
本特集記事では,現在NTT 研究所で研究開発が進められているサイバーフィジカルインタラクション機能の中核技術である知覚・認知制御技術について紹介します。
『奥行推定と画像領域分割の融合によるデプスマップの精度向上技術』(2)では、奥行推定と画像領域分割の融合によるデプスマップ(画像の各画素に対してカメラからの距離を表現したもの)の精度向上技術と、本技術を用いて単眼2D映像からナチュラルな3D視聴を実現するHiddenStereo映像を生成するシステムを紹介します。…