更新日:2020/11/27

    「街づくりDTC」によるデータ駆動・連鎖型のスマートシティNTTスマートデータサイエンスセンタ
    NTTサービスエボリューション研究所
    NTT研究企画部門

    ※記事本文中の研究所名が、執筆・取材時の旧研究所名の場合がございます。

    NTT技術ジャーナル2020年11月号:特集「モビリティを中心とした街のデジタルトランスフォーメーション」より

    山本 千尋(やまもと ちひろ)†1†2/ 社家 一平(しゃけ いっぺい)†1†2/ 深田 聡(ふかだ さとし)†3/ 上野 晋一郎(うえの しんいちろう)†4

    NTTスマートデータサイエンスセンタ†1/ NTTサービスエボリューション研究所†2/ NTT研究企画部門†3/ NTTアーバンソリューションズ†4

    はじめに

    ICTを活用したスマートシティ実現に向けた取り組みが世界各地で数多く行われています。スマートシティ実現に向けての取り組みは、エネルギーマネジメントシステムを中心としたインフラ型や、街中にセンサを設置しデータの見える化とサービスとの連携を図るセンシング型などがあります。さらに、2018年に閣議決定された「Society 5.0」「データ駆動型社会」では、人間中心の社会において経済発展と社会的課題の解決を両立しながら、ICTを最大限に活用し、サイバー空間とフィジカル空間を融合させることにより「超スマート社会」を実現していくことが求められています(1)
    一方、ウィズコロナ時代において生活様式が変化し、ユーザニーズの多様化に合わせたサービス提供が求められています。各産業ドメインにおける提供価値が、個別分野におけるサービス提供から、分野横断でのサービス提供により提供価値そのものを多様化していくと考えられます。
    NTTグループは、街で提供されるサービス単位で環境・モノ・人をとらえ、DT(Digital Twin:デジタルツイン)と、それらを分野横断で連鎖させる機能であるDTC(Digital Twin Computing:デジタルツインコンピューティング)(2)を実現することで、街全体で最適化される新たな価値提供をめざした、「街づくりDTC」を推進します。この「街づくりDTC」を、別途取り組んでいる4Dデジタル基盤®と組み合わせて用いることで、街区サービス事業者のサービス提供価値を高め、サービスを享受するユーザに比類なき体験を提供するデータ駆動・連鎖型のスマートシティを実現します。

    「街づくりDTC」で実現するデータ駆動・連鎖型スマートシティ

    「街づくりDTC」は、NTTグループがかかわる実際の都市再開発の中での実現を進めています。未来の街づくりを考えているさまざまな事業者とのディスカッションを参考に、未来の生活スタイル・ワークスタイルに沿った価値提供サービス〔実現したいUX(User eXperience:ユーザエクスペリエンス)〕の具現化と、それを起点とした技術開発に取り組んでいます。
    例えば、商業・オフィス機能における価値提供サービス(実現したいUX)は、街区管理(ビルオーナ)観点、店舗運営観点、テナント管理観点、SDGs(持続可能な開発目標)に基づく観点、街区共通の移動手段観点で分類することができます(図1)。

    • 街区管理観点では、街区管理・テナント運営の効率化とコスト削減を実現するエネルギー制御最適化、移動設備運転最適化、清掃・警備・保全最適化と、街区利用者に快適さや過ごしやすさを提供するための機能として、適切な環境を提供する環境最適化。
    • 店舗運営観点では、店舗のオペレーション最適化や顧客満足度の向上を実現する顧客体験最適化、さらに店舗での顧客サービスにおいてこれまで以上に細やかな個人単位サービス提供を実現するために個人単位での健康状態推定や購買・嗜好傾向推定、行動傾向予測。
    • テナント運営管理観点では、リモートワークが浸透する昨今の事情から、必要なエリアを必要なタイミングで利用するエリア最適化と、物品、設備も含めたオフィスサブスクリプションを実現するための物品供給・配置最適化。
    • SDGsに基づく観点として、フードロスゼロを実現するための需給最適化やそのためのプライシング最適化、さらに食べ残し削減までめざした、個人の健康状態・嗜好を考慮した配膳最適化。
    • 街区共通の移動手段観点では、街区内移動支援モビリティ最適化や街区MaaS(Mobility as a Service)。

    これらの仕組みを実現するためには、街の各機能の状態、人の動きの状態をリアルタイムに把握したうえで、周りの状況を含めてとらえ未来の状態を予測する必要があります。
    現在、特定のエリアにおける人の動きの状態を集団(マクロ)でとらえ、予測する技術の確立は進んでいますが、より個人単位(ミクロ)でとらえることができれば、街の各機能についてより精緻にとらえることができます(3)。さらに街区では、複数のサービス事業者が影響を及ぼしながら存在しているため、街の各機能どうしを連携・連鎖させることで価値を拡張することが可能です。
    この仕組みを、以下のようなSTEPで実現します。

    • STEP1:街や人々の動きをマクロにサイバー空間上にモデル化して再現し、さまざまな予測や最適化のシミュレーション(DT)の実現
    • STEP2:個人DTを再現し、ミクロな人の動きを街のDTに反映することで、予測・最適化の精緻化を実現
    • STEP3:個別サービスのDTどうしを連携・連鎖させることで、相互の精緻化と街区全体としての最適化を実現
    図1 街づくりOTC
    図1 街づくりOTC

    ■参考文献

    1. (1)https://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/kokusentoc/supercity/supercityforum2019/190629_shiryou_08_02.pdf
    2. (2)https://www.rd.ntt/dtc/DTC_Whitepaper_jp_2_0_0.pdf
    3. (3)角田・秦・中村・尾花:“施設管理支援に向けた常時型人流予測,”研究報告コンシューマ・デバイス & システム (CDS) ,2020.

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