更新日:2020/11/20
三橋 慎(みつはし しん)/ 三輪 紀元(みわ のりゆき)/ 深田 聡(ふかだ さとし)/ 日高 浩太(ひだか こうた)
経済の発展や、技術革新によるさまざまなサービスの誕生に伴い、人々の暮らしは豊かになり、個人の価値観が多様化する一方、生活の質や医療の向上に伴う高齢化や、世界情勢の変化などにより社会課題は複雑化してきており、現在の社会システムでは経済発展と社会的課題の解決を両立することは困難な状況になってきています。
このような環境下において、日本では、第5期科学技術基本計画において、めざすべき未来社会の姿として、「サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会(Society)」としてSociety5.0(1)が提唱されています。
Society 5.0では、フィジカル空間のセンサからの膨大な情報がサイバー空間に集積されます。サイバー空間では、このビッグデータをAI(人工知能)が解析し、その解析結果がフィジカル空間の人間にさまざまなかたちでフィードバックされます。Society 5.0では、膨大なビッグデータを人間の能力を超えたAIが解析し、その結果がロボットなどを通して人間にフィードバックされることで、これまでにはできなかった新たな価値が産業や社会にもたらされることになります。
一方、NTTにおいても、前述のような多様化する社会的課題の解決をめざし、あらゆる情報を基に個と全体との最適化を図り、多様性を受容できる豊かな社会を創るため、光を中心とした革新的技術を活用し、これまでのインフラの限界を超えた高速大容量通信ならびに膨大な計算リソース等を提供可能な、端末を含むネットワーク・情報処理基盤としてIOWN(Innovative Optical and Wireless Network)構想(2)を発表し、2024年の仕様確定、2030年の実現をめざして研究開発を始めています(図1)。
国内の街にかかわる社会課題に目を向けると、都市部では人口集中により、従前からある通勤ラッシュなどの交通問題や環境・エネルギーなどの問題は解消されていません。一方、地方部では少子高齢化・過疎化による生産人口減少から、公共サービスを含めたさまざまなサービスの維持が困難な状況にあります。
モビリティにおいても、特に地方部を中心に、電車、バス、タクシーなどの交通手段を従来どおりに維持することが困難で、将来の自動運転時代も視野に入れながら、さまざまな交通手段を統合的にとらえ、それぞれの地域の人々の働き方、暮らし方に対応した多様、かつサステナブルなサービスの提供が課題となりつつあります。
これまでの社会では、経済成長や人口増加を背景に、マクロな視点からの効率化を中心に、交通手段や、街のさまざまなサービスが設計・提供されてきました。
しかし、今後は目的・利用シーン・健康状態等に応じた交通手段など、多様化する個人の価値観・ニーズにタイムリーに寄り添いながら、多様な社会課題の解決をめざすサービスが求められます。一方で、サステナブルなサービス運用のために、個人に向けた最適化設計のみならず、必要な人員やエネルギーをリアルタイムに最小化して維持コストを抑えるなど、全体最適の視点からのインフラ・サービス設計・運用も重要となってきます。…