更新日:2020/03/01

    IOWN構想特集 ─オールフォトニクス・ネットワーク─
    IOWN構想に基づくオールフォトニクス・ネットワーク関連技術の取り組み
    伊藤 新(いとう あらた)
    NTT情報ネットワーク総合研究所
    所長

    はじめに

    この十数年の間、インターネットの進展やスマートフォンの普及などが社会のあり方を大きく変え、いまや私たちが生活していくうえで必須の存在となっています。インターネットを利用することで生活環境は劇的に変化し、スマートフォン上で展開されるさまざまなサービスにより、プライベートだけでなくビジネスシーンを含めて私たちの生活や働き方は日々進化しています。またIoT(Internet of Things)の進展により、インターネットに接続される各種デバイスは爆発的に増えており、それに伴いインターネット上を流れるデータ量も急激に増加しています。これらに起因して、既存の情報通信システムの伝送能力と処理能力双方の限界や、IT関連機器のエネルギー消費量の増大などが大きな課題となりつつあります。さらに近年、情報処理産業の発展を支えてきたムーアの法則について今後の持続性に関する懸念が指摘されています。ムーアの法則は、「同じ面積当りの集積回路上のトランジスタ数は18カ月ごとに倍になる」というものですが、既存のトランジスタサイズは数 nm(ナノメートル)単位まで微細化が進んでおり、発熱の問題や製造上の物理限界が近づいています。

    What's IOWN

    このような中、NTTではこれまでの情報通信システムを変革し、従来技術の限界および消費電力の壁を超えてネットワークの大幅なポテンシャル向上をもたらす革新的な情報処理基盤の実現をめざすIOWN(Innovative Optical and Wireless Network)構想(1)を提唱し、さまざまなパートナーとともに活動を開始しています(2)。「エレクトロニクスからフォトニクスへ」そして結果としてもたらされる「デジタルからナチュラルへ」という2つの大きな変革により、環境に優しい持続的な成長、究極の安心・安全の提供、多様性に富んだ個と全体の最適化をめざしています。
    IOWNは、①オールフォトニクス・ネットワーク(APN: All Photonics Network)、②コグニティブ・ファウンデーション(CF: Cognitive Foundation)、③デジタルツインコンピューティング(DTC: Digital Twin Computing)の3つの要素で構成されます。本特集ではそのうち、情報処理基盤のポテンシャルを大幅に向上させる基本的な要素であるAPNにおけるネットワーク関連技術について主な取り組みを紹介します。

    What's APN

    APNは、ネットワークに接続されるあらゆるデバイスを対象として、すべての情報伝送と中継処理をフォトニクスベースへ転換することで光の広帯域性・柔軟性を十分に活用し、端末・ユーザ・サービスごとに、多地点間にフルメッシュ接続された光パスを波長単位で提供するネットワークです。現在の通信システムでは、網内において複数回の光信号と電気信号の変換が必要ですが、APNでは電気信号を用いることなく光信号だけで通信を確立することを最終的なターゲットとしています。…

    ■参考文献

    1. (1)https://group.ntt/jp/newsrelease/2019/05/09/190509b.html
    2. (2)https://group.ntt/jp/newsrelease/2019/10/31/191031a.html
    3. (3)伊藤:“NTT R&Dフォーラム2019特別セッション 2030(Beyond2020)を見据えた革新的ネットワーク,”NTT技術ジャーナル,Vol.32,No.1,pp.22-25,2020.

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