更新日:2020/02/01

    新しいValueの創出に資するセキュリティR&D
    データ流通の将来像とそのセキュリティ技術
    NTTセキュアプラットフォーム研究所

    ※記事本文中の研究所名が、執筆・取材時の旧研究所名の場合がございます。

    宮澤 俊之(みやざわ としゆき)/福永 利徳(ふくなが としのり)/高橋 元(たかはし げん)/菊池 亮(きくち りょう)/高橋 誠治(たかはし せいじ)/長谷川 聡(はせがわ さとし)

    データ流通の将来像

    近年、さまざまな分野でデジタルトランスフォーメーション(DX)の加速により、企業や組織のヒト・モノ・プロセスなどのデータ化が進み、高度な分析処理により価値創造や業務効率化などの課題解決につながることが期待されています。これに伴いデータの価値が高まる一方で、セキュリティのリスクやプライバシの懸念も増しています。
    企業活動のグローバル化やクラウド・IoT(Internet of Things)の普及によって、多種・多様なエンティティ(人・端末・組織など)が相互接続し、さまざまなデータの授受や共有が進むにつれ、企業や個人にかかわるデータの窃取・漏洩のリスクは高まっています。また、DXにおいて重要な役割を果たすAI(人工知能)や機械学習において個人情報や企業情報の利活用するためには法的な制約やプライバシ等に関する懸念があります。
    このようなリスクや懸念を払拭するために、NTTセキュアプラットフォーム研究所では暗号技術を使って、個人・組織のモノ・ヒトに関するデータが目的に合わせて安全に相互流通し、課題解決につなげる世界を実現していきたいと考えています(図1)。本稿では、このような安全なデータ流通を支える技術として、あらゆる通信をエンド・ツー・エンドで保護する「データの暗号化とその関連技術」、企業秘密やプライバシを保護しながら高度な統合分析を可能とする「秘密計算AI」、個人を特定できないようにパーソナルデータを加工し、これらの情報の利活用を促す「匿名加工技術」について説明します。

    図1 セキュアなデータ流通・利活用のめざす世界
    図1 セキュアなデータ流通・利活用のめざす世界

    データの暗号化とその関連技術

    データ流通で行われる重要なデータの授受や共有は、それを行う複数のエンティティの間でのみでき、それ以外には一切情報が漏れないことが重要です。特に最近では、サービス提供者からの情報漏洩リスクも考慮し、データ流通サービスを提供する企業やそのシステム管理者に対してさえもデータを秘匿したいというニーズが高まっています。これを実現するために、信頼するエンティティ間で暗号の秘密鍵を共有し、授受や共有するデータをその秘密鍵で暗号化すること、またそのうえで共有データを検索できることが好ましいですが、大きな技術課題が2つあります。…

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