更新日:2019/05/01
飯野 智紀(いいの とものり)†1/ 長尾 友美(ながお ともみ)†1/ マハムド ファーハン†1/ 荒井 稔登(あらい なると)†1/ 川野 友裕(かわの ともひろ)†2/ 藤本 達也(ふじもと たつや)†2
NTTネットワーク基盤技術研究所†1/ NTTアクセスサービスシステム研究所†2
NTTグループは「環境目標2030」において、通信事業のCO2排出の主要因である電力利用の効率の向上に向けて、通信設備の省電力化や効率化に寄与する研究開発を推進することを掲げています。これらの目標達成に資するため、私たちは、通信機械室の冷却効率の向上と、ファシリティの構築・運用時の作業効率の向上に取り組んでいます。
通信機械室の冷却効率の側面としては、ICT装置の度重なる更改に伴い床下のケーブル配線が輻輳し気流空間が狭くなり、冷気の流れが阻害され冷却効率が悪化していることが課題です。また、作業効率の側面としては、電磁ノイズに起因する通信障害の復旧作業において、専門的なスキルと複雑な作業工程を要するためトラブル解消に多大な時間がかかることが課題です。それぞれの課題を解決し全体最適化された通信機械室の実現に向け、二重床下配線技術と、電磁ノイズ対策技術について検討しています。
装置の更改やサービスの変更におけるケーブル布設時に、二重床下の冷気の気流空間を考慮せずに自由に布設したり、ケーブルの新設と撤去を確実に実施しないことで、二重床下のケーブルが不必要に多くなり、空調装置から送出される冷気が遮られ、冷気はフロア全体に拡散しづらくなります。
冷却効率を向上させるには、二重床下におけるケーブルが占める容積を減らして冷気が流れる空間を確保する必要があります(図1)。通信ケーブルについては、多心光ケーブルを先行配線することで、ケーブルの占有容積を4分の1以下に減らすとともに、ICT装置の更改時には各ラック内で光モード変換することで先行配線した多心光ケーブルを撤去せず、使い続けることが可能となります。さらに、光クロスコネクトによりICT装置間の接続替えは遠隔自動化が可能となりオンサイト作業の削減につながります。また、電力ケーブルの細径化の方法として、高電圧直流(HVDC:直流380 V)給電システムに適用することで、ケーブルの許容電流および電圧降下の観点から、配線の所要断面積を6分の1以下に低減できます。これらの技術の適用により、大幅に二重床下の気流空間を確保することが可能となり、冷却効率の向上を実現します。
電磁ノイズがICT装置に侵入することで、機器の誤作動やフレームロス等の通信障害を発生させます。現状の復旧作業では対策用のフィルタを障害が発生している装置に接続されるケーブルに取り付けてノイズレベルを小さくしますが、既存のフィルタは適用周波数が狭いため、ノイズを測定し周波数に適合したフィルタを選択するといったスキルが必要です(図2)。…