更新日:2019/05/01
久保 貴志(くぼ たかし)†1/ 河原 光貴(かわはら ひろき)†1/ 関 剛志(せき たけし)†1/ 岡 利幸(おか としゆき)†1/ 前田 英樹(まえだ ひでき)†1/ 木原 拓(きはら たく)†2/ 伊達 拓紀(だて ひろき)†2/ 穴田 悟(あなだ さとる)†2
NTTネットワークサービスシステム研究所†1/ NTTコミュニケーションズ†2
大容量化が進むコアネットワークは多岐にわたるサービスを支えており、故障発生時には迅速な故障個所特定が求められます。ネットワーク保守者は伝送装置から発出される警報やPM(Performance Monitor)情報の監視によりネットワーク内の信号品質を把握しており、故障発生時にはそれらを基に故障個所特定を行い、設備復旧を実施してきました。
しかし、警報から故障個所を特定することが困難な故障が発生することがあります。例えば、WDM(Wavelength Division Multiplexing)信号の光パワーを光パス(波長)ごとに調整する機構が故障し、ある光パスの光パワーが増加した場合を想定します。この場合、光パワー増加によってファイバ非線形効果が顕著となり信号品質が劣化することに加え、同一の光ファイバ(セクション)を伝送されるほかの光パスにも信号品質の劣化が波及します。信号品質の劣化は光信号が終端されるトランスポンダ(TRPD: Transponder)で検出されますが、警報が発出された個所と故障個所が異なるため、影響範囲把握や原因の切り分けに時間を必要とし、設備復旧に莫大な時間を要することがあります。
NTTネットワークサービスシステム研究所ではNTTグループ会社と協力し、実際に発生した特異かつ重大な故障事例を基に、迅速に故障個所特定可能な手法を検討しています。今回提案する故障個所特定手法の概要を図1に示します。コアネットワークを構成するNTTビル内の、光パワー調整機構が実装されている伝送装置が故障した場合を想定します。STEP1では最初に、TRPD内で監視している信号品質の時間的な劣化から故障検出します。次に、信号品質と今回新たに監視が可能となる光パラメータ(位相、振幅、周波数、偏波など)の時間分解能が高い時系列データを相関解析することで、信号品質劣化に寄与した光パラメータを特定します。光パラメータは伝送路状態と関係があるため、この情報を用いることで故障要因の推定が可能です。STEP1の結果として、信号品質が劣化した各光パス端点のTRPDから、推定結果がネットワーク制御サーバに通知されます。
STEP1はネットワーク制御サーバで行うことも可能ですが、伝送装置とネットワーク制御サーバ間を結ぶ監視・制御用IPネットワークであるDCN(Data Communication Network)に大量のデータを流出させると輻輳が発生します。本手法ではTRPDで故障検出および故障要因推定を行い、推定結果のみをネットワーク制御サーバに通知することで、DNCへの大量のデータ流出を抑制することができます。
STEP2では、NTTコミュニケーションズとともに検討を進めているネットワーク制御サーバを用います。ネットワーク制御サーバは管理するコアネットワークのトポロジ情報と通知されたSTEP1の結果から、NTTビルどうしを結ぶ伝送路であるセクションと品質劣化を受けた光パスとの関係を把握、故障が発生したNTTビルを特定します。その後、STEP1で推定された故障要因と従来手法を用いて交換対象の特定を行い、設備復旧を行います。
STEP1の故障要因推定までの詳細を図2に示します。TRPDは光信号をクライアント信号に変換する伝送装置です。コアネットワーク内を伝送された光信号は、最初にTRPD内の光デバイスで光パラメータの情報を保ったまま光電変換されます。…