更新日:2019/05/01
渡辺 敬志郎(わたなべ けいしろう)/ 田尻 兼悟(たじり けんご)/ 中野 雄介(なかの ゆうすけ)
NTTネットワーク基盤技術研究所
NTTネットワーク基盤技術研究所では、ICTシステムの状態変化の早期検知を目的として、オートエンコーダ(AE)を活用した異常検知技術(DeAnoS: Deep Anomaly Surveillance)の開発に取り組んでいます(1)~(3)。本稿ではDeAnoSに関してNTT R&Dフォーラム2018(秋)で展示した内容を紹介します。
DeAnoSで活用しているAEは、データに内在する複雑な構造の学習を可能とするディープラーニングの一種であり、AEによる異常検知技術に注目が集まっています。AEでは中間層の次元を入出力層より少なく設定し、入力層のデータを出力層で再現するようにパラメータを学習することで、中間層においてデータの次元削減が行われます。AEを用いた異常検知では、正常なデータは入力データ空間上において、低次元表現が可能なある多様体の周辺に分布するという前提に基づいています。具体的には、学習時には、システムが正常に動作している期間に観測した各種データによって「正常な状態」を学習し、テスト(異常検知)時には、現時点のデータが上記のように学習されたAEに入力され、入出力層のベクトル間の距離を異常度として出力します(図1)。異常度がしきい値を超えると異常として検知します。
なお、入力するネットワークデータとしては、SNMP(Simple Network Management Protocol)/MIB(Management Information Base)に基づくリソース・トラフィック情報やNetflowに基づくフローデータといった数値データに加え、テキスト情報であるルータやサーバのsyslogも対象としています。syslogは、syslog分析技術(4)を用いてID化し、各IDの出現回数を用いてテキストデータから数値データに変換します。こうすることで、syslogも含めた学習を可能としています。
さらに、異常を検知するだけでなく、異常検知時にその要因を推定するための検討も進めています(5)。具体的には、AEによって異常が検知されたら、どの入力次元が原因で異常度が高くなったかをスパース最適化によって推定する技術を検討しています。この技術では、異常度に対する各入力次元の寄与度を算出しており、これにより異常検知後の切り分け作業の効率化が期待できます。
現在、事業会社の協力の下で、実際のサービスから取得した運用データに基づきDeAnoSの検証を進めており、技術の有効性検証や実用に向けた課題の抽出を行っています。…