更新日:2019/02/01

    光アクセスネットワークの方向性
    寺田 純(てらだ じゅん)
    NTTアクセスサービスシステム研究所
    プロジェクトマネージャ

    NTT技術ジャーナル2019年2月号:特集「つくばフォーラム2018 ワークショップ」より

    光アクセスの状況

    FTTH(Fiber To The Home)は、ここ十数年で急激に普及し、NTT東日本・西日本の契約数が合計で2000万件を突破する等、飽和状態となっています。そのような状況の中、NTTグループとしては、B2B2Xモデルへの移行、携帯電話基地局の大幅増設によるモバイルトラフィックの増加、IoT(Internet of Things)等の新たな使い方の出現、さらには、保守人員の確保困難化といった変化に対し、どう対応していくかが課題となっています。ネットワークの使われ方も多様化しており、多くの端末が同時に接続したり、1つの端末のデータ量が小さいといった利用も増えてきています。また、保守稼働については、日本の労働力人口が年々減少し、2060年には4割減少するといわれており、アクセスネットワークの膨大な設備を、継続的かつ容易に保守できるかが大きなポイントとなってきています。アクセスネットワークの装置は、各家庭に設置されている等、分散配置されているため、保守者の移動時間も含めた保守稼働は非常に大きな課題になります。

    将来の光アクセスネットワーク像

    このような状況の中、将来の光アクセスネットワークとしては、「High Flexibility」と「Low Maintenance」の2つのキーワードが重要になると考えています。High Flexibilityは、今後ますます発展が予想されるモバイルネットワーク、IoTネットワーク等、FTTH以外の足回りとしての活用を実現する柔軟性です。具体的には、低遅延、多数接続、といった新たな要件に、アクセスネットワークとしても対応していかないといけません。また、Low Maintenanceは、アクセス装置に、何らかの保守稼働を低減する技術を適用していくことです。そして、これら2つのキーワードを実現するうえで、アクセス機能の部品化・仮想化が重要な技術となります。
    技術的なポイントとしては、転送機能とサービス機能の分離、サービス重畳による光アクセスネットワークの共用があげられます。基本的な考え方として、さまざまなサービスを実現するための機能は、上位階梯に集約し、それ以外の装置は、シンプルな汎用装置をなるべく多く使うことです。上位階梯に機能を集中配備しておくことにより、機能の追加・削除を容易に行うことができます。新たな機能をアクセスネットワークのすべての装置に追加することは非常に困難であるため、できるだけ上位の階梯にサービス機能を集約するのが望ましいです。新しいネットワークの要件が出てきたら、上位階梯の装置のみに機能追加することで新しい要件に対応することができます。

    FASAの取り組み

    NTTアクセスサービスシステム研究所は、より多様なサービスを迅速かつ経済的に提供し、長期にわたり継続的に発展可能とするため、2016年2月にFASA®Flexible Access System Architecture)コンセプトを発表しました。現状のアクセスネットワークは、サービスごとに異なるアクセスシステムを導入しており、機能の追加・変更が困難となっています。例えば、FTTHなら、FTTH専用かつNTT専用の装置が入っており、それぞれに最適化された実装となっています。一方で、FASAコンセプトでは、汎用ハードウェアの上で動作する、部品化された機能ブロック(ソフトウェア)の組合せでサービスを実現することができます(図1)。これにより、ソフトウェア機能の追加・変更が容易となります。ハードウェアでしか実現できない機能、例えば、伝送技術に応じたハードウェアモジュール等は、ハードウェアを付け替えることで対応します。FASAがめざす姿は以下の4つです。

    • ① 迅速なサービス提供:オペレータ独自の機能部品をサポートし、機能部品を簡易にインストール可能とします。
    • ② OPEX(Operating Expense)の削減:予備物品の共通化や保守作業の共通化により、OPEX削減に寄与します。
    • ③ CAPEX(Capital Expenditure)削減:共通化された安価なハードウェアにより多様なサービスを実現します。
    • ④ サービスの継続性:既存機能に影響せずハードウェアのアップグレードや交換を可能とします。
    図1  FASAコンセプトの概要
    図1  FASAコンセプトの概要

    FASA技術のポイント

    FASAの技術的なポイントは主に次の3つです(図2)。以下の技術を順次実現することにより、段階的にFASAの効用を得ることを想定しています。…

    図2 段階的なFASAの実現
    図2 段階的なFASAの実現

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