更新日:2018/11/01
日本の海事業界のIoT(Internet of Things)化の取り組みは、日本海事協会子会社のシップデータセンター(ShipDC*)が運営し、日本郵船株式会社やNTTを含む46社が参加する「IoSオープンプラットフォーム(IoS-OP: Internet of Ships Open Platform)」を中心に進められています。本コンソーシアムでは、海運・造船所・舶用機器メーカに加え、NTTのようなICT企業も参加し、船舶データを業界内で共有・活用するためのルールや契約の整備を行っています。この取り組みがユニークなのは「メーカ主導」ではなく、海運などユーザ企業も巻き込んだALL Japanとしての仕組みであることです。また、日本海事協会という一般財団法人がデータ共有のデータセンタ機能を担うことで、データの所有や活用におけるさまざまな利害関係を整理し、データ流通を促進する役割を担っている点も他業界のIoTへの取り組みとは少し状況が異なっています(図)。
日本の海事業界がIoS-OPというプラットフォームを構築し、データ活用を急ぐのは、業界に課せられた高い環境規制の目標があることがその一因です。IMO(国際海事機関)の平成30年第72回海洋環境保護委員会(MEPC72)で国際海運のGHG(温室効果ガス)の排出削減目標やその実現のための対策等を包括的に定める「温室効果ガス(GHG)削減戦略」が採択されました。この戦略は、単一セクターで全世界的に今世紀中のGHG排出ゼロをめざすことに世界で初めてコミットしたもので、省エネ技術のさらなる促進、経済的インセンティブ手法の実施等を通じ、2030年までに国際海運全体の燃費効率を40%改善し、2050年までにGHG排出量を半減させ、最終的には、今世紀中のGHG排出ゼロをめざすという非常に高い目標を掲げた長期方針となっています。業界では、船舶の燃料費節約にはこれまでも取り組んできましたが、原油価格が上昇基調であることと、2020年のSOx(硫黄酸化物)排出規制によって燃料コストの負担が増加する見通しであることからも、もう一段上の改善に向けたオペレーションや船型改良の機運が高まっています。特に船型改良についてはまだまだ改善の余地があると考えられており、そのためにはIoT/AI(人工知能)等のDigitalizationによる船舶運行の実際のデータ収集・共有・活用が必須となります。
特に、日本以上に環境に対する意識の高い欧州はもちろん最近では中国も環境規制に対する取り組みを強化しており、日本としてはALL Japanで世界に先行しその技術を開発し、標準化やルールづくりでリードすることが重要となっています。
日本郵船では、2014年からの中期経営計画“More Than Shipping 2018~Stage2きらり技術力~”において技術力による差別化をテーマの1つに掲げ、技術力や現場力、創造性を発揮して新しいビジネスの創出や課題解決を具体化する取り組みを推進してきました。…