更新日:2024/09/05

筋協調運動を促す運動能力転写技術人間情報研究所

目次

概要

初心者の筋肉を筋電気刺激によって動かすことで、熟練者の筋肉の使い方(筋協調運動)を身体で直接学ぶことができる技術です。
楽器演奏等、複数の筋肉の協調運動が関わる、高度な運動スキルを学習可能であり、初心者がつまづきやすいポイントを簡単に乗り越えられるよう支援します。
本技術の適用により、ローカル/オンライン教室での学習効果のより高いサービス提供などが期待できます。

背景・従来課題

筋肉を電気刺激により収縮制御する筋電気刺激(Electrical Muscle Stimulation: EMS) は1960年代頃からリハビリ等に、2010年代頃からはユーザインタフェースとしても研究されてきました。これまで、筋電気刺激は指を動かすなどの単純な運動の生成に限られており、楽器演奏やスポーツにおける筋肉の使い方を教えるような、高度な運動スキルの学習支援に応用する方法は確立されていませんでした。
この実現に向け、複数の筋肉の協調運動が関わるような、高度な運動スキルを筋電気刺激によって学習可能とする技術を実現しました。

本技術のアドバンテージ

  • 刺激用電極を貼るだけであり、容易に装着可能
  • 初心者がうまく使えていない筋肉に筋電気刺激を提示することで、筋肉の協調運動を改善
  • 筋肉の使い方が変わることで運動学習が促進

利用シーン

  • 腕や肩への電気刺激の提示により、複数筋肉の協調運動を意識するようになり、結果として運動の質が向上(トレーニングへの適用)
  • 新たなリモート/ローカル運動学習への適用(ピアノ教室における遠隔教育等)

解説図表

HI0020_1.jpg

技術解説

従来の筋電気刺激の手法では、身体の正しい使い方を考慮せず、指を動かす筋肉に電気刺激を流して本人の意志とは関係なく身体を動かして(不随意運動)運動支援を行っていました。そのため、例えばピアノ演奏での適用に際しては、運指を教えることはできても熟練者のような効率的な身体の動かし方に基づいた演奏技法を身につけることはできませんでした。
本技術では、初心者が熟練者のような正しい身体の使い方を身につけられるように支援するために、以下の処理手順に基づいて電気刺激を制御することで上記課題を解決し、効果的な学習が可能な筋電気刺激の提示手法を開発しました。
1.熟練者と初心者の身体の使い方を解析するため、信号処理技術や非負値行列因子分解(非負値のみからなる行列を分解するという数学の手法で、筋肉の協調関係を明らかにする)を用いて、筋シナジー解析(どの筋肉同士が協調しているかを解析する手法)を行う
2.解析結果に基づいて、初心者が使えていない筋肉を選択し、インタラクティブに電気刺激の強度やタイミングを制御する
3.電気刺激によるインストラクションに合わせてユーザ自身も筋肉を動かすことで、運動学習が促進され、効果が定着する

担当部署

人間情報研究所 サイバネティックス研究プロジェクト

関連するコンテンツ